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第8問 IoTで用いられるネットワークIoTスペシャリストを目指そう(8)(1/3 ページ)

IoTプロジェクトを計画・推進するには、技術から法律まで幅広い知識が求められます。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。今回のテーマは「IoTで用いられるネットワーク」です。

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IoTに適したセンサーネットワーク

 IoTの典型の1つに、センサーで測定したデータを通信回線で集め,クラウドやサーバで処理を行うというものがあります。その具体例として第5問「センサーと組み込みシステム」では、田畑の温度の「見える化」を題材に説明しました。


センサー(組み込みシステム)で取得したデータを携帯電話通信網を介してクラウドにアップロードし、“見える化”するまでの流れ

 この例は温度センサーを持つ1つの組み込みシステムで温度測定を行い、携帯電話回線でデータ送信するものです。田畑全体で温度差があまりないという前提に立つならこのように1つのセンサーで十分なので、電池駆動の温度センサーからのデータを携帯電話回線を用いて収集することができます。

 これに対し、プラントなどで温度分布を測定し、そのデータをクラウドで処理を行いPCに“見える化”するといった場合には複数のセンサーが必要です。この複数のセンサーにそれぞれ携帯電話回線を持たせることは現実的ではないので、LANでまとめてからインターネットへ接続することになります。

 しかし、PCなどで一般的ないわゆる無線LAN(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac)は動画再生などに適した高速大容量の無線通信技術ですが、温度分布の測定では多数の温度センサーから少量のデータを集めるので、高速大容量である必要はありません。センサーネットワークはこのような用途のために開発されました。


センサーネットワークを利用したIoTの概略

 小容量で低速な回線にすることで低消費電力が可能になり,電池での長期駆動が実現し電源工事も不要になります。有線でも良いのですが、配線不要な無線センサーネットワーク「WSN」(Wireless Sensor Networks)が本命です。このWSNにゲートウエイを介してインターネットへ接続します。

 IoTではデータ収集に適したWSNだけでなく、家庭内の電力管理に用いる「HAN」(Home Area Network)や自動車や工場での制御に用いる「CAN」(Controller Area Network)、ヘルスケア関連で用いるBAN(Body Area Network)などのネットワークが活躍します。また、ネットワークを距離によりPAN、LAN、MAN、WANに分類することもあるので、覚えておきましょう。PANは身の回りの機器を接続するネットワークなので、センサーネットワークは接続距離としては主にPANに分類されます。

IoTに用いられるさまざまなネットワーク
計測 WSN (Wireless Sensor Networks) 近く PAN (Personal Area Network)
家庭 HAN (Home Area Network) 構内 LAN (Local Area Network)
制御 CAN (Controller Area Network) 都市 MAN (Metropolitan Area Network)
人体 BAN (Body Area Network) 世界 WAN (Wide Area Network)

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