IoTスペシャリストを目指そう(4)
第4問 IoTで注目される「NoSQL」データベースとは?(1/2 ページ)
IoTプロジェクトを計画・推進するには、技術から法律まで幅広い知識が求められます。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。今回のテーマは、IoTで注目される「NoSQL」データベースについてです。
NoSQLデータベースとは?
「NoSQLデータベース」とは、“Not Only SQL データベース”の略だといわれています。
「SQL」とは、Oracle DatabaseやPostgreSQL、MySQL(MariaDB)などの“リレーショナルデータベース”において、データの検索や追加などの操作を行うための言語です。
このSQLを使ってデータを操作するリレーショナルデータベースに対し、“それ以外のデータベース”を意味する言葉として、“NoSQLデータベース”という言葉が生まれました。ちなみに、NoSQLデータベースの種類としては、カラム型データベース、ドキュメントデータベース、グラフデータベースなどがあり、NoSQLデータベースはこれらの総称です。
さて、「あらゆるシステムで利用されている」といっても過言ではないリレーショナルデータベースと、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)領域で脚光を浴びているNoSQLデータベースの違いについてですが、実は「SQLが利用可能かどうか」は大して重要ではありません。
NoSQLデータベースにおける特筆すべき特徴は、「スキーマレスのデータを格納できる」という点にあります。
NoSQLデータベースのメリット
スキーマレスとは、“格納されるデータにどのような項目が含まれるのか決まっていない”という意味です。
リレーショナルデータベースの場合、例えば「環境データ」というテーブルには、「計測時間」「緯度」「経度」「気温」「湿度」といったデータが含まれる、とあらかじめスキーマ(データ構造)に定義されています。そのため、新たに「降水量」というデータが取得可能になった場合は、データ構造を再定義しなければなりません。また、データ構造の再定義により、全データに「降水量」という項目が新たに追加されるわけですが、値を取得できないケースの対処として「NULL(何もないという意味)」などの特殊な値を入れる必要があります。
これに対し、NoSQLデータベースの場合は、テーブルに相当するデータの塊(NoSQLデータベースの1つである「MongoDB」では“コレクション”という)の中に、異なる構造のデータを持たせることができるため、その点では非常に自由です。言い換えれば、取得可能なデータを、データ構造の定義を気にすることなく、どんどん入れていけるのです。
NoSQLデータベースがIoTで注目される理由
IoTプロジェクトの目的はさまざまですが、典型的なプロジェクト例としては、IoTデバイスからあらゆる環境情報をモニタリングして、業務の効率化を目指すというものがあります。
このとき、どのようなデータが「効率」に関係しているのか、明確になっていればそのデータだけを取得すればいいのですが、多くの場合は明確ではありません。
それ故、取得可能なデータを多く集め、巨大なデータ群を分析することによって、複雑な因果関係を明らかにする――「ビッグデータ」による分析を実施するわけですが、環境情報のモニタリングで得られるデータ項目が変化する可能性もあるので、データ構造の定義を気にする必要のないNoSQLデータベースがIoTにおいて活躍するといわれています。
リレーショナルデータベースとのすみ分け
ではIoTプロジェクトの場合、リレーショナルデータベースの採用を辞めて、全てNoSQLデータベースにすればいいのでしょうか? 実はそういうわけでもありません。
NoSQLは、理論上リレーショナルデータベースよりも性能面で不利といわれています。単純に、全てのデータ項目がそろっているリレーショナルデータベースと、データ項目が不ぞろいなNoSQLデータベースの処理速度を考えてみると、リレーショナルデータベースの方が速そうだということは容易に想像できると思います。
特にNoSQLだと、複雑な条件の付く「検索」やデータの「更新」「結合」などで処理に時間がかかるといわれています。従って、更新が頻繁に発生するデータや安定したレスポンス速度が求められるシステムなどにおいては、今後もリレーショナルデータベースが利用されるでしょう。
今回の問題
それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します! 今回は、NoSQLデータベースに関連する問題となります(※)。
問題(4):
リレーショナルデータベースと比較した場合における、NoSQLデータベースの特徴として正しいものを選びなさい。
- 全てのNoSQLデータベースは、SQLという言語を使ってデータの操作が行える。
- 一般的に更新や結合などの処理が頻繁に発生するシステムにおいては、性能面でNoSQLデータベースの方がリレーショナルデータベースよりもレスポンスが速い。
- リレーショナルデータベースに比べて“データ構造に対する自由度が高い”というメリットがある上に、デメリットは“特にない”ので既存のリレーショナルデータベースは全てNoSQLデータベースに置き換えるべきである。
- 取得するデータに新しい項目を追加する場合においても、データ構造の再定義を行う必要はない。
※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IoTスペシャリストを目指そう
IoTプロジェクトを計画・推進するには、産業システム、法律、デバイス開発、無線ネットワーク、データ分析、セキュリティなど幅広い知識が必要となります。本連載ではIoT検定制度委員会監修の下、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題し、その解答を詳しく解説していきます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
降圧レギュレーターのVOUTリップル測定時における高周波ノイズ
-
3
スキマ時間に学ぶ! 日本経済のいま(第33回~34回)
-
4
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
5
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
6
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
-
7
高精度DAQでも活用できる「絶縁型シグナルチェーン」とはどのようなものか?
-
8
DMG森精機の欧州深耕
-
9
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
10
DAQ用µModuleで実現する状態監視システムの高精度位相マッチング
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー