大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
組み込みの「一番根っこ」を狙うか否か 戦略が別れる小規模FPGAの現状(1/3 ページ)
今回は、小規模FPGAを手掛ける各社の戦略を分析したい。とりわけInfineon TechnologiesとMicrochip Technologyはこの分野で真逆のアプローチを示していて、興味深い。
今月のお題は、厳密にいうとあまり2月のニュースではない(1月と3月のニュースが混じっている)のだがご容赦頂きたい。今月のお題は小容量FPGAについてである。
最小構成でも大容量、AMDの新Spartan
AMDは2024年3月5日に「Spartan Ultrascale+」を発表した(「エッジ向け「Spartan UltraScale+」、AMDが発表」)。ここでポイントになるのは、最小構成の「SU10P」でも11K LCとかなりの大容量になっていることだ。オンチップメモリも1.77Mビットとかなりの容量である。これだけあれば、実はMicroBrazeどころかフルスペックのRISC-V(RV32I)を動かしてまだ余裕がある回路規模であって、既にGlue Logic向けを完全に通り越している気がしなくもない。もちろん、前世代の「Spartan-7」も2035年まで提供されることが明言されているし、開発ツールもVivadoに移行が完了しているから、Spartan Ultrascale+でOverkillならSpartan-7を使えばよいわけだが、このSpartan-7でも7K LCとかなりの大容量である。
2021年の話になるが、ルネサス エレクトロニクスがDialog SemiconductorのForge FPGAを発売するという話があった(「ルネサスが小規模FPGA市場に参入、0.5ドルでの提供目指す」)。そのForge FPGA、ラインアップは900~5K LUTと、Spartan Ultrascale+に比べるとかなり控えめであるが、実のところGlue Logicというのはこの程度でも十分なケースが少なくない。同じようにローエンド向けに提供されているAltera(Intelから分社化されてまた昔の名前に戻った)の「MAX 10」も、上は50K LEだが下は2K LEでしかない。
Microchip Technology(以下、Microchip)は現在、「PolarFire FPGA」や「PolarFire SoC FPGA」を前面に押し出しているが、このシリーズは同社の中でもミッドレンジと位置付けられており、ローエンド向けには「IGLOO 2」が用意されている。こちらは最小構成で6K LUTである。さらにローエンド向けにはIGLOOシリーズがあり、この中の「IGLOO nano」は100~3K LUTと非常にコンパクトである。
Lattice Semiconductor(以下、Lattice)も最近は「Avant」とか「Nexus」などミッドレンジ向けが前面に押し出されているが、この下のグレードとしてもともとSiliconBlue(2011年にLatticeが買収)が開発していた「iCE40」シリーズを現在も展開しており、この中のiCE40 UltraLiteは640~1.2K LUT程度だし、ローエンドだとLowPower向けのiCE40 LPに384 LUTの製品もまだある。
こうした競合メーカーのラインアップに比べると、Spartan Ultrascale+の容量は随分大きいと感じられる。この規模になってくると、MCUと組み合わせてどうこうするというより、MCUもSpartan Ultrascale+に入れた方が効率が良いかもしれないが、今度は価格であるとかMCUの周辺回路のうちFPGAで代替できないものをどうするか?という議論が出てくる。多分であるが、Spartan Ultrascale+を"Glue Logic"に使うシステムは、HostがMCUではなくMPUの、それもそこそこ大規模かつ複雑なものを想定しているように思える。もちろん、そうしたシステムにもGlue Logicが必要になることはしばしば発生するから、ターゲットとしては間違っていないのかもしれないが。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
2
ものづくり白書2026を読み解く
-
3
機械・電気設計の連携はなぜうまくいかない? 手戻りを防ぐ協調設計の進め方
-
4
Waymoの自動運転技術に迫る
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
6
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
7
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
8
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
9
OTセキュリティ実態調査2026
-
10
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー