つながる世界の開発指針(3)
IoTの開発現場で考慮すべき「高信頼化機能」とは何か(2/3 ページ)
「IoT高信頼化機能」概略
IoTライフサイクルのフェーズでいちばん重要であり、かつIoTの特性を活用した効果が期待できるのが「予防」である。ここでは、この予防フェーズで実現が期待される「機能要件」について説明する
「予防」で期待されるのは、以下の「機能要件」である。
- 1 異常の予兆を把握できる
- 2 守るべき機能・資産を保護できる
- 3 異常発生に備えて事前に対処できる
1 異常の予兆を把握できる
IoTシステムは、機器の故障やセキュリティ異常が発生すると被害が拡散する特徴があり、正常時から異常になる傾向をキャッチし、異常発生を未然に防止することが重要となる。そのためには、以下の機能が必要となる。
- 異常の予兆の対象となる事象を特定する機能
- 予兆の把握に必要な情報を取得・分析する機能
- 判断基準に基づき異常の発生を予測する機能
- 異常の発生を通知する機能
例えば、IoT機器・システムの稼働中の動作を各種ログ情報として収集し、故障に結び付くようなハードウェアの劣化やリソースの枯渇などを判断し、異常が発生する前に警告を出せれば、故障によるダウンタイムを防止できる。
また、異常発生の可能性が高い状態(正常動作しているかどうか)を確認できる機能――ハードウェアの定期診断、IoT機器・システムのブート診断(POST:Power On Self-Test)、ウイルス対策機能など――があれば、メンテナンス費用の低減にもつながる可能性がある。これらを実現する機能としては、「ログ収集機能」「時刻同期機能」「予兆機能」「診断機能」「ウイルス対策機能」が挙げられる。
2 守るべき機能・資産を保護できる
セーフティやセキュリティの観点から、「何をどのように守るのか」を見極める必要がある。そのうえで、それらを保護する機能と、保護した状態がきちんと維持できているかを確認できる機能も必須となる。
例えば「つながる世界の開発指針」では、守るべき機能として「IoT機能」「本来機能」「情報」「その他」を挙げている。ちなみに「その他」は現金自動預払機(ATM)内の現金や、自動販売機内の商品などを指す。
ここで注目したい守るべき機能は「情報」だ。これにはユーザー情報や画像コンテンツ、機器情報、設定情報などが包含される。IoT機器はネットワークに接続するため、ネットワーク保護対策としてファイアウォール、暗号通信機能などを備えることが求められる。また、機能やデータの保護対策には、メモリプロテクション、暗号化、情報へのアクセス制限などが有効だ。なお、その他については物理的な鍵や、開封時のアラームを鳴らす機能などが必要である。
さらに、これらの機能は「保護状態が維持されているか」を確認できることが重要だ。これらを実現する機能としては、「ログ収集機能」のほか、「アクセス制御機能」「時刻同期機能」「暗号化機能」などが挙げられる。
3 異常発生に備えて事前に対処できる
IoT機器やシステムを健全な状態に維持するためには、ハードウェアの劣化や性能不足、既知のソフトウェア不具合や脆弱性などの問題にできる限り素早く対応することが不可欠だ。そのためには、IoT機器やシステムの寿命を把握し、ハードウェア交換、リソース増強、ソフトウェアアップデートなどを定期的に行う必要がある。
特に、ソフトウェアアップデートは遠隔で改修できるリモートアップデート機能を利用することが望ましい。ただし、アップデートのデータそのものが改ざんされる可能性もあり、署名などの対策機能(セキュアアップデート)の考慮も必要である。また、改修した箇所については記録しておくように心掛けたい。なお、リモートアップデートは異常発生する前の「予防対策」として位置付けているが、実行している内容は「ソフトウェアの改修」だ。つまり、「回復機能」としても位置付けられる。
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「つながる世界の安心安全」実現に向けた重要ポイント
IoT(Internet of Things)は、新規ビジネスの創生や利便性の向上による市場獲得などが期待されている一方で「つながる」ことで発生するセキュリティ脅威の増大や、“1つのモノ”の障害が、ほかのモノに波及/拡大する危険性も懸念されている。 こうした現状を鑑み、情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(IPA/SEC)では、IoT機器/システムの開発者や経営者に検討してほしい事項を「つながる世界の開発指針」や「『つながる世界の開発指針』の実戦に向けた手引き」としてまとめた。本連載ではこれら内容をより具体的に紹介していく。
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