パートナー連携によるNFVで実現
IoTセキュリティはデバイス防御のみにあらず! 「分散連携防御」という考え方(2/2 ページ)
「閉域網」でも脅威はゼロにならない
IoTとネットワークで注目されるのは「閉域網」だ。これは携帯電話事業者から提供された特別なSIMを利用することにより、インターネットを通さずに企業のネットワークに閉域で接続する、いわばモバイルの専用線だ。これを利用することで、インターネット側からやってくる脅威を防ぐことができるため、IoTの安全なアクセスラインとして注目されている。
しかし、閉域網だからといって脅威をゼロにすることはできない。IoTデバイスに直接マルウェアを注入する、デバイスを不正に改造するなどの方法で侵入することもあり得る。この点に関しては、IoTデバイスを展開するときのリスクとして考えなくてはならない部分だ。
その点に関しても、ネットワークをうまく使った対策が可能である。トレンドマイクロとソラコムが共同で検証しているモデルでは、IoTデバイスが通信するネットワークをソラコムが閉域網SIMとして提供し、ソラコム内のトラフィックをトレンドマイクロのセキュリティVNFがチェックすることで、ソラコムのネットワークがセキュアになるというものだ。
トレンドマイクロのセキュリティVNFが、IoTデバイスに対する不正アクセスなどの異常を検知した場合、「SIMを無効化する」などの対処が行える。これらの作業は自動化も可能なので、大量のIoTデバイスを持つシステムにおいては、閉域網によるリスク低減とともに万が一の侵入時にも、脅威を可視化、対処が可能になる。ソラコムにとっても、回線提供とともにセキュリティが得られるというメリットがあり、回線に付加価値を持たせることができるのだ。
安全にはコストがかかるが――意識せずとも安心して使える世界を目指して
これらはIoTのシステム全体を安全にする手法として、デバイスだけでなくネットワークなどでもセキュリティ対策を施すというものだ。当然ながらこれらの安全性を確保するには、デバイスだけではない「投資」が必要になる。
この点に関して津金氏は「IoTは単なるブームではなく、偏在から“遍在”になる」と述べる。「理想のネットワークの姿は、水道と同じ。普段は全く意識しないが、その安全は確保されていて、安心して水道水が飲める。そこにはしっかりとコストがかかっていて、対価として私たちも水道代を支払っている。IoTもいつか、そういう世界になるのではないか」と語る。「そのために、IoTの脅威情報やセキュリティに関する啓蒙(けいもう)活動を、パートナーとともに続けていきたい」。
利用者がその安全を正しく得られるようにするため、総務省の「IoTセキュリティ総合対策」にて、ある一定のセキュリティ要件を満たしているIoT機器に認証マークを付与するなどの案が出されている。そのような機器を選定することだけでなく、セキュリティベンダー、ネットワークサービスプロバイダーなどが協業し、IoTのシステム全体を守るという取り組みを行っていることは知っておくべきだろう。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 製造業の制御情報系システムをサイバー攻撃から守る「ITセキュリティの力」
» 2つの事例で理解する工場セキュリティ対策の考え方とソリューション導入
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著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追い掛けている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。現在、ITmediaエンタープライズにて、もはや誰もが人ごとではないITの課題や話題を紹介する「半径300メートルのIT」を連載中。また、それをまとめた書籍「デジタルの作法~1億総スマホ時代のセキュリティ講座」も発売中。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さまに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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