TechFactory通信 編集後記
「Windows Embedded」はどこへ行く
近年のマイクロソフトはWindowsやOfficeといった「製品」を開発販売するだけの企業ではないことを印象づけていますが、組み込み向けのWindows OSはどうなっていくのでしょうか。
先日、日本マイクロソフトの経営幹部と話す機会があり、聞いてみたかったことを尋ねました。
「組み込みのWindowsはどうなるのですか」
マイクロソフトはOS「Windows」で知られますが、近年ではクラウド「Azure」を軸にした企業というイメージを強めています。日本マイクロソフトの平野社長も2017年8月に開催した経営方針説明会でクラウド事業の好調さとさらなる推進を語っておりWindowsやOfficeといった「製品」を開発販売するだけの企業ではないことを印象づけています。
質問に答えてくれた幹部も「顧客をマイクロソフト製品で“囲い込む”ような提案はもうナンセンスだ。顧客の要望に添った提案のどこかにマイクロソフトの製品やクラウドを含めたサービスが入っているという状態を目指している」と平野社長の方針に沿う内容を語りました。これは裏返せば、製品そのものの開発や訴求に帯する比重が下がることを意味します。
Windows OSにはPCやサーバを対象としない、組み込み向け「Windows Embedded」シリーズが展開されており、一定の評価を得てきました。名称こそその時々に応じて変わっていますが、PC向けWindows OSの特徴を引き継ぎ、ネットワークやグラフィックスの扱いに優れた、比較的リッチなOSとしてデジタルサイネージやPOS端末、カーナビゲーションなどの機器で利用されてきました。
そしてWindows 10とともにマイクロソフトの戦略が大きく変化したことに呼応するよう、組み込み向けOSもWindows 10 IoTと新たなバージョンになりました。クラウドとの接続性やセキュリティが強化された他、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリの実行に対応することで、Windows 10向けに開発されたアプリをほぼそのまま適用できます。
米MicrosoftはWindows 10出荷開始に際して、「One Windows」という言葉で将来的な構想を表現しましたが、これはつまり、WindowsはPCやサーバといった機器を制御するOSから、複数の機器を束ねてサービスを提供するプラットフォームの一部へと変容しつつあり、組み込み向けWindowsも例外ではないということです。
モノとモノがつながることで新たな価値を生む「IoT」がもはや絵空事ではなく、現実のものとなっている以上、組み込みOSもそこへ組み込まれていくこととなります。それは必然ともいえる流れではありますが、組み込まれた製品の存在感は希薄化してゆくことになり、「Windows CE搭載PDA」など古くを知るものからすれば一抹の寂しさを覚えるのです。
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TechFactory通信 編集後記
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