宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(115)
不足するセキュリティ人材、本当に生成AIを活用してほしい人は?(2/2 ページ)
経営層にお願いしたいこと
筆者は、ぜひ製造業、特に中小企業の経営層にも、この生成AIを活用してほしいと考えています。社内資料をアップロードしてはならないという前提の下でも、例えば業界の最新技術に関する資料を読む時間が取れない経営者であれば、「要約して内容を教えて」と指示するだけで十分です。また、海外で新しい技術が発表された場合には、「日本語に翻訳して要点をまとめて」と頼むだけでも、その力を十分に発揮してくれるはずです。
門林先生も、基調講演の中で、生成AIを研修用のクイズ作成や最先端技術の用語解説などに活用することで、独学でもさまざまなメリットが得られると紹介していました。その上で、「セキュリティ担当者が作成するレポートは経営層には分かりにくいものが多い。ならば、生成AIを使って経営層向けの説明資料を作ってもらえばいい」ともおっしゃっていました。
これこそ、生成AIの有効な使い方だと思います。難しい専門用語に解説を加えたり、表現を分かりやすく整えたりする作業を、人の手で時間をかけて行うのではなく、生成AIをツール、つまり“助手”として手早く任せてしまう。こうした使い方こそ、人材不足が課題となりがちな現場で、生成AIが最も力を発揮する場面だと感じます。
しかし、それは本当にセキュリティ担当者の仕事なのでしょうか。理想的なのは、経営層こそがAIを積極的に活用し、少し分かりにくい表現があれば、自分で生成AIを使って要約を読んだり、調べたりできることだと筆者は考えます。経営層だからといって、学ばなくてもよいという理由にはなりません。セキュリティは経営課題です。であれば、人材不足を解消する上でも、経営層こそが生成AIを使いこなせるようになることは、セキュリティ以外の面でも確実に力になるはずです。
もちろん、いきなり「やれ」と言うのは、さすがに無理があります。できれば、生成AIを理解している人が仲間として経営層に寄り添い、手取り足取り教えることが最初の一歩かもしれません。それも1日あれば十分でしょう。生成AIの力を知った経営層であれば、「よし、組織全体で活用しよう!」とトップダウンで動いてくれるはずです。これこそが、本当のDX(デジタルトランスフォーメーション)なのかもしれません。
かつてネットで読んだ「アウトプットは量が多い方がいい。フィルタリングは各自でやる」という考え方を、筆者は信じています。そのフィルタリングの手段の1つとして、生成AIはあらゆる分野で活用できるはずです。まずはルールを守った上で、ぜひ触ってみてください。
著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さんに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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