宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(115)
不足するセキュリティ人材、本当に生成AIを活用してほしい人は?(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、ビジネスの現場で急速に広がる「生成AI」の活用をテーマに、経営層から現場までが考えるべきリスクと可能性を取り上げます。
先日、アイティメディアが主催したセミナーで、奈良先端科学技術大学院大学の門林雄基教授(以下、門林先生)が講演を行いました。講演では「サイバーレジリエンス」をキーワードに、現在、日本国内でも多くの被害が報告されているランサムウェア攻撃に対し、その対抗手段の1つとして「生成AI(人工知能)」を活用するという内容が語られました。
門林先生は、多くの企業が多様化するリスクへの備えを十分にできていないと指摘します。ランサムウェアの被害発生は、さまざまな要因が重なった結果として起きる“末期症状”だと表現していました。PCといったエンドポイントだけに集中した対策では、本来防御すべきVPNなどのネットワーク機器への対応が不十分なままになり、結果としてあっさりと侵入を許してしまうことになります。さらに、それに対抗しようにも「わが社にはサイバーセキュリティの専門家がいない」という言い訳がまん延しているのが現状です。門林先生は、まさに「そこにこそ生成AIを活用すべきだ」と提言していました。
生成AI、使っていますか?
さて、その生成AIですが、「ChatGPT」や「Gemini」「Copilot」などが、無料、もしくは無料に近い形で一般の人々にも浸透しつつあります。使っている人は積極的に活用していますが、そうでない人はまだ接点がない状況に近いかもしれません。一方で、既に使いこなしている人はあっという間に利用を進め、今では強力なツールとして手放せない存在になっているはずです。
筆者としても、これらのツールはぜひ使ってみてほしいと思っています。情報を集める際には、自然言語で会話をするように質問できるのが特徴です。表示された結果を見て新たな気付きがあれば、そのまま深掘りしていくこともできます。こうした流れを実際に体験してみないと、そのすごさはなかなか実感できないでしょう。まずは仕事とは関係のない趣味の話や、日々の生活の話題でも構いませんので、気軽にやりとりをしてみるといいと思います。
例えば、「中小企業、特に製造業における『ITセキュリティ』について調べています。従業員レベルでできる、組織全体のセキュリティ向上に効果がありそうな、今日から実践できる対策はありますか。そして、その参考資料を提示してください」と、Geminiに投げ掛けてみると、筆者がこのコラムを連載する必要がなくなるほど、的確な指摘が返ってきます。ぜひ、皆さんもそれぞれ個人のアカウントで(できれば自宅やスマートフォンから)同じような質問をしてみてください。初めての方ならきっと驚くはずです。製造業の経営層こそ、最新の技術に触れてみることが大切です。
絶対にやってはならないこと
ただし、それはあくまで個人レベルの質問にとどめてください。というのも、企業で生成AIを利用する際に最も注意すべき点が「情報漏えい」だからです。
取材の際、筆者が個人的に生成AIの利用状況を聞いた限りでは、多くの組織がこの点を理解し、情報が外部に漏えいしない生成AIエンジンを契約して運用しています。専用のポータルを経由して利用するように定めたレギュレーションを設けている企業も、思った以上に多いようです。そうした環境であれば、既にフル活用している若手社員もいるでしょう。しかし、情報システム部門やセキュリティ担当者から正式に「これを使え」と指示されていない場合は、社内で作成したドキュメント類を生成AIにアップロードしてはいけません。扱うのは、あくまで公開情報のみにとどめましょう。
それでも、いまひとつ実感が湧かないという方もいるかもしれません。筆者は以前、ある上場企業が広く公開している四半期決算資料を丸ごと生成AIにアップロードし、さらに説明資料を加えた上で、「この説明資料の中に、あまり大っぴらにしたくない、隠したいと思っている内容はありますか?」と質問してみました。すると、生成AIはかなり意外な、しかも「確かにその通り」といえる点を的確に指摘してきたのです。
あなたの組織(自社)について、生成AIがどこまで把握できるかを確かめたい場合は、公開されている資料を使って試してみるとよいでしょう。四半期報告書や製品の説明資料など、誰でもダウンロード(入手)できる情報を基にすれば、一瞬で内容を深掘りしてくれます。営業職の方でも、その力をすぐに実感できるはずです。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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