大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
DRAM業界をかき乱す中国勢、DDR4の供給の行方は?(3/3 ページ)
なぜCXMTはDDR4の生産終了を決定したのか
そもそも何でCXMTは突然にDDR4の生産終了を決定したのか、であるがもちろん公式発表ではないから正直なところは不明である。ただバイデン政権からトランプ政権に代わり、より一層中国への締め付けが厳しくなっている現状では、今後DDR5の入手性が急速に悪化しても不思議ではない。要するに政治的な意図をもって、CXMTはDDR4の量産を減らしてその分DDR5を優先する事を決めたというか、政府筋から指示されたのではないか、とDigiTimesでは推察している。
そのDigiTimesによれば、正式なEOLの通知はまだ出ていないにもかかわらず、既にCXMTからのDDR4の供給は無くなっているとしている。厳密に言えば、恐らくContractベースのものについては多少なりともあるのかもしれないが、少なくともSpotには流れなくなっているようだ。ただ先に触れた様に、CXMTのDDR5のYieldはまだそれほど高くない(10~20%という2024年末の段階からは多少改善したらしいが)上に、動作も完全ではないという。温度試験の結果、60℃を超えると動作が不安定になる事が判明したなんていう話もあって、信頼性が必要とされる用途にはまだかなり難がありそうだ。ただ政治的な意図をもって今回のDDR4→DDR5への移行が決まったのだとすれば、方針が変わる事は無いように思える。
結果的にDDR4は、業界の予想より早く供給が大幅に減る事が予測される。これはまだDDR4の供給を続けている台湾のDRAMベンダーにとってはある意味救いではあるのだが、逆にこうしたベンダーにとってはDDR5への移行が遅れるきっかけにもなりかねない。例えばNANYAは2022年にEUVを利用する新Fabの建設を開始しており、今年中に稼働を開始する予定である。当然ターゲットはDDR5世代である。同社の場合10nm世代は2022年に1A-nmプロセスでの製造を開始。次いで1B-nm/1C-nmと続き、EUVは第4世代の1D-nmになる予定である。この投資を回収するためにも、同社としてはDDR4からDDR5へラインアップを切り替える予定だったはずなのだが、今回のCXMTの決断でこうした予定が全部ひっくり返る可能性すら出てきた。
今後、業界トップ3社がDDR4の生産をやはり継続する方向に切り替えるか、それともやはりDDR4は終了する方向なのか、現時点ではまだ不明である(恐らく各社ともまだ方針の検討中だろう)。DRAMの今後がますます読めなくなりつつある昨今である。
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