宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(105)
サイバー世界はもはや“有事” 2025年はセキュリティを自分ごとにしよう(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、年末年始にあった警察庁からのサイバー攻撃に関する注意喚起の話題からお届けします。
2025年もサイバーセキュリティの状況は“最悪”かもしれません。皆さんは年末年始にかけて、警察庁をはじめとする日本政府に近い場所から、サイバー攻撃に関する注意喚起があったことに気が付きましたでしょうか?
1つは、大きな話題となった暗号通貨流出事件が“北朝鮮に関連するサイバー攻撃だった”という大変センセーショナルなものです。通常、こういったサイバー攻撃の背景に関して、特定の国を名指しするのはリスクが大きいことです。しかし、最近では調査精度も上がってきたからなのか、攻撃の背後にある国の名前を大きく取り上げて注意喚起が行われる機会も増えてきました。
さらに、2025年の年明け直後、警察庁は「MirrorFace(ミラーフェイス/別名:Earth Kasha(アース カシャ))」と呼ばれるサイバー攻撃グループによる、サイバー攻撃キャンペーンに関する注意喚起「MirrorFaceによるサイバー攻撃について」を公開しました。
「ぜひ、これらの注意喚起に目を通してほしい!」というのが筆者の本音ではありますが、どちらの注意喚起もかなり踏み込んだ内容になっているため、「読んでみたものの正直よく分からない」という方も出てきそうな気がしています。ただ、警察庁からこういった注意喚起が出ている以上、無視することはできません。
そこで今回は“これら注意喚起から読み取ってほしいポイント”について、内容をかみ砕いて、できるだけ分かりやすく紹介してみたいと思います。
金のためならどこまでも
まず理解してほしいのは、もはや「狙われない企業はない」ということです。また、今回の注意喚起はいわゆる「国家を背景とした高度な標的型攻撃」に対してのものですが、今やこの手の攻撃がどの企業にも当たり前のようにやってくる可能性があるということを認識しなければなりません。そうであるからこそ、このような注意喚起が広く公開されているわけです。“あなたの組織も無関係ではない”ということをまずはご理解ください。
今回の注意喚起では、攻撃に“巧妙な手口が使われている”ことが報告されています。TraderTraitorによる攻撃の手法ですが、攻撃者はまず「人」そのものに接近してきます。例えば、ターゲットとなった企業のソフトウェア技術者に対して、「あなたからプログラミングを学びたい」「私のプログラムの不具合を直してほしい」などとメッセージを送信し、アプローチを仕掛けてきます。そして、実際に“プログラムを見てもらう”という流れにもっていき、ソフトウェア技術者が使用している開発PCをマルウェアに感染させて、開発環境に入り込むという流れです。
そして、2つ目の注意喚起で取り上げられたMirrorFaceの場合はというと、おそらく多くの方が使っているであろう開発ツール「Visual Studio Code(VS Code)」や、もしかすると聞き慣れないかもしれませんが、Windowsの標準機能「Windows Sandbox」などが悪用され、マルウェアが実行されます。
どちらも共通しているのは、PC環境や人の教育に対して何も対策をせず、そのまま普通に運用を行っていた場合、“防ぐ(止める)すべがなさそうだ”という点です。特に、人と人とのコミュニケーションに入り込んでくるタイプのサイバー攻撃は、こういった攻撃が存在することを知らなければ対策が難しいでしょう。
同様のことは、メールのやりとりの中で「緊急で振込先を変更してくれ!」と入り込んでくる“ビジネスメール詐欺”や、声を似せて電話で直接指示を送る“CEO詐欺”でもいえるでしょう。今回の注意喚起における重要なポイントの1つは、開発者も同様に狙われているということです。これを知っているのと、知らないのとでは大違いです。
加えて、社内で使っているツールの管理、ツールの機能の把握も重要です。それができていないと、それらをひっそりと悪用する攻撃者に対抗することができません。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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