大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelの苦境が人ごとではないSamsung ファウンドリー事業は崖っぷち(2/3 ページ)
工場建設計画にも暗雲が
この結果として、SamsungのFabの計画そのものが見直しになってしまったらしい。現在同社は韓国のPyeongtaekにP4 Fabを建設中であり、また米テキサス州TaylorにもFabを建設中である。Taylor Fabの方はロジック向けとされて4nm~2nm世代の製造を行う予定であり、一方P4 Fabの方はDRAMとNAND型フラッシュメモリ、それと4nm~2nmのロジックの全てを賄う先端Fabになる予定であった。このP4 Fabの方は4つのフェーズに分かれていて、第1フェーズではNANDフラッシュ、第2フェーズでロジック、第3フェーズでNANDフラッシュの追加ラインとDRAM、そして第4フェーズでロジックの追加ライン、という計画であり、加えて同じくPyeongtaekにP5 Fabを建設する予定もあった。こちらは当初2024年7月末までに建屋が完成する予定であった。
ところが9月時点で言えば、まずP5の建設は中断。早ければ2025年1~2月に再開される可能性もあるとされるが、2026年までずれ込む可能性が高いと見ている。P4 Fabについても第4フェーズは現在全く見通しが立っておらず、それどころか第2フェーズが後送りとなり、第3フェーズが前倒しで実施される見込みとなっている。これに伴い、9月に入ってから製造装置メーカーに対して納入を延期するよう通達が行われている事も報じられている。取りあえず、P4 FabはNANDフラッシュに続きDRAM、それも需要が切迫していると見られているHBM3eの生産を行うものと目されている。
もっとも、このHBM3eに関しては完全にSK hynixなどに先行されてしまっており、2024年7月末にやっとNVIDIAによる認証を取得、これから量産に入るといった状況である。ちなみに7月末に認証されたのは8-Hi(8層)のもので、12-Hi(12層)に関しては現在もまだ認証取得中とされる。NVIDIAは次世代GPU「Blackwell」の増産を予定しており、SK hynixだけではHBM3eの供給が間に合わないため、その不足分をSamsungに求めるとされている。これに加えて、AMDの「Instinct」シリーズやIntelの「Gaudi 2/3」、他さまざまなベンダーのAIプロセッサがみんなHBM3/3eを利用している現状では、少なくとも2026年前半まではこのHBMへの需要が継続すると見ているようだ。
加えて言えば、SK hynixは、2025年には8/12-HiのHBM4、2026年には16-HiのHBM4を投入する計画があるとされている。Samsungもこれに追従する見込みであり、P4 FabはこのHBM3eと将来のHBM4の量産に向けて体制を整えてゆく格好である。
この結果として後送りになってしまったのがロジックである。SF3ですらYieldが上がっていないわけだが、2nmであるSF2もYieldが低迷しており、しかも現状ではこれを向上させるためのメドが立っていないという話が伝わってきている。とはいえ、やらないという選択肢は無いので引き続きYield改善に向けて努力を続けているのだが、ただ現状のYieldでは量産に入れない(というか量産可能と宣言したところで、誰も使ってくれない)から、もう少しYieldが改善するまでは量産設備を整えても無駄になるだけである。このため、P4 Fabの第3フェーズに関しては現時点では開始時期が未定、というところまで後退してしまった。
米国工場はもっと悲惨な状況
もっと悲惨なのがTaylor Fabである。こちらはもともと2024年中に稼働を開始する予定が、いろいろあって2026年まで稼働開始がずれ込んでいた。この結果、2025年にSF4の量産がまず始まるはずだったのが、2026年後半に量産開始という計画になった。だが、「2026年に4nmも無いだろう」という判断でSF4の量産は取りやめとなり、2nmやその先(SF2/SF1.4)をターゲットにすることになっていたらしい。ところが、SF2どころかSF3すら量産がおぼつかない状況では、2026年の稼働を目指して設備を入れたところで、無駄に設備が遊んでいる状況になりかねない。Taylor Fabの場合はP4と異なりDRAMやNANDフラッシュの製造の予定は無いから、工場を建設しても代わりに作るものが無い。結果として、操業縮小および人員削減に踏み切る事を決定したと報じられている。
2024年4月に米国政府は、CHIPS法に基づきこのTaylor Fabおよび既に稼働中のAustin Fabに対して最大64億米ドルの補助金を支出する事を決定している。この補助金のほとんどはTaylor Fab向けで、SF2あるいはそれ以降のプロセスでの生産に加え、先端パッケージの提供に対しても補助金が支出される。現状Taylor Fabで可能性があるのはこの先端パッケージだけという事になるが、それだけのために稼働させるか?というとかなり怪しい。
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