大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
AuroraがFrontierを超えられない理由/SynopsysもRISC-V陣営へ(2/3 ページ)
ではノード数が多いせいか? というと、これは一応要因の一つだとは思う。実際、Frontierにはアプリケーションの先行開発用に同じハードウェア構成のまま小規模(128ノード)にしたFrontier TDSというシステムもあり、こちらは理論性能23.11PFlopsに対して実効19.20PFlopsで効率83%と猛烈に高い事を考えると、ノード数が増えると不利な事は間違いない。ただFrontier自身、2022年6月の時点では9248ノード。2023年6月の改定では9216ノードに減っているが、その9000ノード超で71%の効率を実現できているのだから、5439ノードが「多すぎて効率が上がらない」理由にはならないと思う。
もう一つの問題は性能/消費電力比である。Auroraは585.34PFlopsの実効性能に対し、消費電力は24686.88KWで23.71GFlops/Wほどになる。ちなみにFrontierは52.59GFlops/Wと2倍以上の効率を発揮している。実はこの24.7MWというAuroraの消費電力はちょっとカラクリがあり、計算機システムそのものは51.2%分しか稼働していないが、ネットワークや冷却システム、管理システム、ストレージなどに関してはフルシステムで稼働しているという話であった。なのでフルシステムで稼働したからといって24.7MWが2倍になる、という訳ではないとの事。現実問題としてはフルシステム稼働時には6~7割増し、つまり40MW前後に落ち着くのではないかと思うが、それでも1EFlops/40MWだと25GFlops/W程度で、Frontierの半分以下の効率でしかない。2013年にDoE(米エネルギー省)がExascale Initiativeを発表した時の目標は1EFlopsのマシンを20MW以下、つまり50GFlops/Wの効率を持つマシンをターゲットとした(図2)。残念ながらAuroraはこのInitiativeから10年経ってもまだ目標を達成できずにいるわけだ。
ちなみにIntelは2022年5月に現在のDatacenter GPU MaxことPonte Vecchioの後継製品として、Xeコアの数を25%増強したRialto Bridgeの開発を表明していたが、2023年5月にこのRialto Bridgeの開発中止を発表。Ponte Vecchioの後継は2025年に投入予定のFalcon Shores(図3)になることが発表されている。つまり2025年までDatacenter GPU Maxの改定は行われない訳で、IntelはHPCマーケット向けにこの性能/消費電力比の劣るGPUしか投入できないのは、なかなか厳しいものがある。余談だが、今回ランキング8位に入ったMareNostrum 5 ACCは、Xeon Platinum 8460Y+とNVIDIA H100の組み合わせで実効138.20PFlopsを2560.0KWで実現しており、性能効率は53.9%とFrontierとどっこいどっこいながら性能/消費電力比は54.0GFlops/WとFrontierを上回る高効率を誇る。Auroraの性能効率の方は今後の最適化で改善できるかもしれないが、AMDとNVIDIAのGPUに大きく劣る性能/消費電力比で今後2年間戦うのはかなり厳しそうだ。
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