大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
RambusがPhysical IPをCadenceに売却/GDDR7とMRDIMMが標準化に向けて前進(2/2 ページ)
GDDR7とMRDIMMが標準化に向けて前進
先にも触れたが、GDDR7の技術的仕様がほぼ固まった模様だ。Samsungは2023年7月19日にGDDR7の技術開発が完了し、既に特定パートナーによる検証がスタートしたことをアナウンスした。Micronも2023年7月26日に発表したHBM3 Gen2の説明の中で、2024年末にGDDR7を投入することを発表している(図1)。メモリトップ3ベンダーのうち2社が既にアナウンスを行ったというのは、まだJEDECでの標準化作業そのものは完了していないものの、技術的な要素は固まったということであり、恐らく2023年中に標準化ドキュメントが公開されるのではないかと思われる。
まだ技術的な詳細は明らかではないが、変調にPAM-3を利用し、データレート32Gbpsということなので、信号速度は21.3GT/secと思われる。Samsungの写真(図2)によればBall-outは19×14=266ballで、これはGDDR6のx32構成(180ball)とx64構成(460ball)のちょうど中間位に相当する。
Pin数の増分から考えれば、ひょっとすると信号も従来のSingle-EndedからDifferentialに変更された可能性も0ではないが、そもそもDifferentialを使うなら別にPAM-3などを使わなくても既に32Gbpsでの転送が可能(PCI Express Gen5という実例がある)で、50Gbps位までのヘッドルームがあることを考えると、恐らくはSingle-Endedのままであろう。登場時期は図1にもあるが、2024年末というあたりだろう。Samsungの発表も「技術開発を完了して特定顧客による検証開始」という話で、これが完了するのには最低でも半年かそこらは必要であり、これで問題がなくなって初めて製造開始となる訳で、量産製品の出荷は早くて2024年後半。そこから量産GDDR7チップを利用しての検証が行われ、搭載製品が市場に出るのは2024年の年末商戦の時期といったあたりではないかと想像される。それまでの間は既存のGDDR6でカバーするという形になるかと思われる。
もう一つの話題がMRDIMM。MRDIMMの話は2023年4月の記事でご紹介したが、これに基づく製品は2024年に本当に出てくる可能性がかなり堅くなってきた。まず2023年5月にIntelがAuroraの説明を行った話をご紹介したが、この際に次々世代のXeon ScalableであるGranite RapidsではMCR(Multiplexer Combined Ranks) DIMMをサポートすることを明らかにした。2023年4月の記事ではMRDIMMにもGen 1~Gen 3があるというスライドをご紹介したが、Intelはまだそこまで先走る気はないようで、取りあえずGen 1相当となる4400MT/sec×2の8800MT/secを次々世代(と言ってもIntelのロードマップによれば来年投入予定)のGranite Rapidsでサポートすることを明示した格好だ。
このMRDIMM、昨年SK Hynixはこんなリリースを出してMRDIMM(というか、MCRDIMM)をサポートすることを表明しており(ただしデータレートは8000MT/sec)、また2023年5月末から台北で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2023におけるADATAのブースでは、実際にDDR5-8400のMR-DIMMのサンプルまで展示されていた(図4)。で、ここで再び図1に戻る訳だが、Capacity向けのソリューションにRDIMM(Registered DIMM)やCXLに混じってちゃっかりMRDIMMが入っているのがお分かりかと思う。登場時期は2024年に入ってからということになるが、これはIntelのGranite RapidsだけでなくAMDのTurin(現在のGenoaの後継製品)もやはりMRDIMMをサポートすると見られることで、MRDIMMのマーケットの立ち上がり時期が正確に特定できない(というか特定させたくないというメーカーの意向がある)ためと思われる。
そんな訳で、既にGen 1のMRDIMMは割と現実的に立ち上がりそうな気配が強い。問題はGen 2/Gen 3が本当に実現するかどうか、である。信号の速度だけで言えば、同じようにSingle-EndedでPoint-to-Point構成のGDDR6が最大24Gbpsを達成している(2022年にSamsungが発表)したから、この数字だけ見ていればGen 2の12.8GT/secやGen 3の17.6GT/secは実現可能に見える。ただGDDR6は基板に直接接続されているのに対し、MRDIMMではメモリチャネルあたり1 DIMMスロットに制限したとしても、DIMMスロットそのものが信号を乱す要因になるだけに、一概にここまで速度が上がるかどうかちょっと怪しいものがある。またMRDIMM用のDB(Data Buffer)も懸念事項で、8800MT/sec動作でも64bit分の信号となると、結構な消費電力になりそうである。これが12.8GT/secとか17.6GT/secともなると、かつてのFBDIMMのAHB並に発熱しそうであり、ヒートシンクを装着しないと連続運用時に支障がでるとかいう騒ぎになりかねないとよいのだが。
しかしこうなると、DDR6の標準化作業はさらに遅れそうな予感である。もういっそのことコンシューマ向けにもMRDIMMを使ってしまえばと思わなくもないのだが、やはりDBを搭載することによるコスト増があるので「現実的とは思えない」(CVP&GM, Client Channel Business, AMDのDavid McAfee氏)という返事であった。
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