宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(87)
工場だって「ボーダーレス」 重要な“検知”スキルを身につける手引き書を読む(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、制御システムを運用する事業者に向けてIPAが公開した“検知”スキルを身につけるための手引き書について紹介します。
日本国内でのサイバー攻撃事例報告が後を絶ちません。名古屋港ではコンテナ管理システムがランサムウェアで停止してしまい、大きな話題になりました。この事例ではかなり早期に復旧が行われており、“回復力”を持っていたことを称賛したいと思いますが、皆さんの組織では対策が進んでいますでしょうか?
重要インフラをはじめ、多くのシステムはまだ「外部と切り離されているから大丈夫」と思っているかもしれません。特に工場などでは、インターネットとつながっていない状態での運用がされていると思います。しかし、世はDX時代。クラウドと接続し、さまざまなデータを活用することが求められており、旧来型の境界防御が崩れているのが現状でしょう。その状況では、もはや侵入を100%防ぐことは大変困難です。おそらく、そういった現場が被害に遭っているのではないかと思います。
重要なのは、侵害されてはならないエリアに侵入したことに気が付けるか。その検知能力を手に入れるための手引き書が公開されました。
「侵入検知」のスキルを手に入れる
情報処理推進機構(IPA)は2023年6月、制御システムを運用する事業者に向け「産業用制御システム向け侵入検知製品等の導入手引書」を公開しました。これは2022年に発表された「産業用制御システム向け侵入検知製品の実装技術の調査」を元に、現在ベンダーなどから提供されている侵入検知製品を、制御システムなどクローズドであるエリアでどのように運用・活用できるかをまとめた資料となります。
この資料は、産業用制御システムが一部オープン化し一般的なプロトコルを利用するようになったり、OA系ネットワークとの接続が行われることでセキュリティリスクへの対策が急務となったことが背景にあります。各種ガイドラインも公開されていますが、そのリスク対応策の具体的な基本事項や導入の進め方などを支援する目的で作られています。
ITの世界でも、もはや侵入を完全に防ぐという方法は困難を極めており、感染すること、侵入されることを前提とした防御手法が一般的になりつつあります。そのために必要なのは、ウイルス対策ソフトをすり抜け、既に感染し、その感染端末を広げていくような悪意ある行動を「検知」することが重要です。OAネットワークならば、EDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイントにおける検知と対応)ソリューションがそれに相当するのですが、産業用制御システムでは個別の機器にEDRのソフトを入れるわけにもいきません。
本書は産業用制御システムでも、EDR的な「検知」機能をどう実現していくかという点を解説しています。まさに、TechFactoryをお読みの皆さんにピッタリの資料になっていると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー