大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
半導体不足に対するルネサスの答え(3/3 ページ)
なんでこんな戦略なのか? というのは比較的推察しやすい。昨今では半導体どころか、その半導体の原材料のレベルで払底し始めているが、これはそもそも供給不足になり始めた結果としてさまざまなレベルでの買い占めが発生、供給不足がさらに加速するという、ある意味単純な図式によるものだ。ちょうど2000年前半の不織布マスクやらアルコール消毒液不足を思い出していただければ分かりやすい。これ、解決もある意味簡単で、溢れるほどに供給が行われさえすれば、さまざまなレベルで買い占めたものの放出が連鎖的に始まり、すぐに正常化するのだ。問題は半導体はそうそう簡単に増産ができない事と、そうして増産すると価格が下落して、結局生産者がそのツケを払う羽目になることだ。ルネサスが頑として増産に走らないのは、このあたりを見越しての事だろう。
もっとも、かつてのルネサスは顧客、具体的には自動車メーカーから要望を受けたら、それを断りにくい体質であった。もしかつての経営のままであったら、本当にどこかの生産拠点を300mmに転換とかを計画し始めていたかもしれない。
ここでちょっと村尾麻悠子氏の編集後記から抜粋させていただくが、
顧客企業において、「現場では半導体の重要性を分かっていても、幹部クラスになると、“グラム単価いくらで買えるもの”と思われていたかもしれない。だが、半導体はそういうデバイスではない。そういう認識が広範に共有されたのはエポックメイキングな出来事だった」と述べました。
とされている。でもかつてのルネサスであれば、それでも言われていたら「グラム単価いくら」のビジネスを継続していただろう。そうした旧弊から完全に脱したのが現在のルネサスの姿であり、それを一番象徴するのがこの前工程の生産能力拡大に関するロードマップのように筆者には思える。
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