宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(63)
“祭り”は終わった? いや、始まってもいない!(2/2 ページ)
重要なことは「焦らない」?
特に重要であるのは、「不正アプリや詐欺サイト、フィッシングメール/SMSに注意すること」、そして「セキュリティに関する社内ルールや、基本動作の徹底を図ること」にあると、個人的には考えています。これらはセキュリティ機構だけでは守りきれるものではなく、どんな業種であっても従業員一人一人が考えなくてはならないことです。昨今では個人を狙うフィッシングも巧妙化が進んでおり、思わずクリックし、ID/パスワードを入れなくては! と思うような仕組みが使われています。メールやSMSの着信タイミングも日本人の行動に合わせられており、十分に気を付けていたとしてもだまされることが多いです。
重要なのは、焦らないこと。企業組織を狙ったものですと、さらに巧妙なテクニックを使っています。一時期話題になった「ビジネスメール詐欺」のように、上長の実名を使ってメールのやり取りに紛れ込むことも行われるわけです。ただ、焦ることなくじっくりと考えてみる時間があれば、「おかしいかも?」ということに気がつけるかもしれません。文面で急かされている雰囲気があれば、いったん「おかしい」モードに切り替えてみてください。そこで例えば同僚に相談できることや、セキュリティ担当者に相談するルートがあればなおよいでしょう。
加えて、通常業務の中でも「焦らせない」ことを徹底する必要があるかもしれません。普段から焦らせるようなやり方をしていたら、大きなリスクが入り込んでも区別が付かず、大きな損害を発生させてしまうかもしれません。そうならぬよう、経営者は事前に業務の調整が必要です。
今回のような一大イベントが身近な場所で行われることとは無関係に、標的型攻撃は「人」を狙います。重要なのは、人への対策なのかもしれません。
それでも急がなければならない事態には、あらかじめ備えておこう
とはいえ、急いで対応しなければ秒単位で損害が広がるということもあるのが、サイバー攻撃です。例えばWebサイトの設定不備などで、漏れてはならない情報が表出してしまっているなどの場合、即座にサービスを停止でき、“止血”できる判断ができるかが課題になるはずです。また、明らかにパッチ適用や回避策を実施しなければ脅威が侵入する可能性がある、新たな脆弱性の発表などにおいても即座の判断が必要です(先に話題になった「PrintNightmare」(CVE-2021-34527)など)。こういったものに関しては、事前に組織としてどういうことが起きたら止める/適用するなど、あらかじめ判断できるように準備しておく必要があるでしょう。こういったものは焦らず、しかしすぐに判断が必要です。
そして、今回の資料ではさらに2つほど注目したい記述があります。1つ目は
「オリパラ期間が終わっても、脅威環境が好転するかは分からない。「オリパラが終わるまでは特別体制」ではなく、今回の体制・確認を日常の基本動作にしていくこと。
という一文。残念ながらこれで終わりではありません。むしろ始まってもいない状況とも言えるでしょう。あくまで今回はきっかけの一つとして捉え、体制を日々整えることが重要です。
そしてもう一つは、最終ページに書かれた「リンク集」でしょう。何かが起きたとき、相談したり報告したりできる窓口や、日々情報を提供する有用なサイト群、Twitterアカウント群が掲載されています。今後もここを中心に巡回することで、過不足ない情報にアクセスができるはずです。
今回の資料は、さらりと読めるたった3ページのもの。これをどう読み解くかは私たち次第です。パッと見た印象以上に、よい資料であることが分かるはず。公開されているあらゆるセキュリティ関連資料は、必ずあなたにフィットするよいポイントが含まれるはずです。無料で公開されている資料を、ぜひ自分の糧にしてください。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 制御システムの「安全神話」は既に崩壊している
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著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さんに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
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