宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(51)
それでも枯れるまで待つ? かつての常識をアップデートすべき理由(1/3 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は、常に新しい常識を基に「アップデートする」ということの重要性についてお話しします。
COVID-19の影響で自宅にいることが多くなりました。もしかしたら気分転換のため、携帯型ゲーム機にお世話になっている方も多いかもしれません。Nintendo Switchのゲームなどは親子で楽しめるように設計されているので、家族全員がコミュニケーションのツールとして活用できるでしょう。ゲームの存在価値も大きく変わりました。
私のSwitchは家族に取られてしまっているために話題の「あつまれ どうぶつの森」は楽しめてないのですが、こういったゲームは定期的にアップデートが行われています。その中には、こんな注意書きがあります。
Ver. 1.3.0以前とはローカル通信の互換性がありません。一緒に遊ぶ人と更新データのバージョンをそろえてください。
(Nintendo Switch サポート情報より)
https://www.nintendo.co.jp/support/switch/software_support/acbaa/131.html
この説明書きは、ゲームだけのことではなくとても重要なことです。不具合がある人とない人が同時に遊べるようにもできるかもしれませんが、そのためのコストは大変なものになってしまいます。だからこそ、みんなで遊ぶものに関しては、アップデートが行われていることが前提なのです。これは、インターネットの世界におけるルールだと考えるべきかもしれません。
“インターネットの森”におけるルールを守るために
さて、本題に入りましょう。今回は2つほど、新たに登場したルールを学んでみたいと思います。まずは、このインターネットの世界においてもはや当たり前になった「暗号化」のお話です。
情報処理推進機構(IPA)は7月、「暗号鍵管理ガイドライン」を公開しました。暗号技術評価プロジェクト「CRYPTREC」の成果として作成されたガイドラインで、米国標準技術研究所が作成したガイドラインであるNIST SP800-130「A Framework for Designing Cryptographic Key Management Systems」の解説書として作成されました。暗号化は利用者レベルではあまり気にせずに利用できるものではありますが、システムを作る際には暗号の鍵管理、暗号化手法などかなり気をつかわなければならない部分です。
特にIoT機器を設計する場合、IoT機器と中央サーバとつないでデータ処理を行うような方式を採ることが多いはずです。その際に通信経路を暗号化しなければ、悪意ある端末をIoTネットワーク内に潜り込ませ、異常データを流し込むこともできてしまいます。それを防ぐためには、適切な暗号化処理、そして鍵管理を行うべきです。その際に、必ず有用になるのが今回のガイドラインです。
暗号化手法に関しては、一度選択した暗号方式が一生使えるわけではないことを覚えておくべきです。例えばかつて利用されていた共通鍵暗号化「DES」やハッシュ関数「SHA-1」といった仕組みは現在では脆弱であるため、新たなシステムでは採用してはなりません。同じように、現在推奨されている暗号化方式やハッシュ関数も、いつの日か解読されることになります。
上記のCRYPTRECが非常に興味深い文書を公開しています。昨今話題になっている「量子コンピュータ」の性能が著しく向上したことで、これまで安全とされていた暗号化手法を今後も利用してよいのか、ということを解説した注意喚起が公開されています。結論としては現時点では問題がないと記されていますが、こんな1文も追記されています。
しかしながら、革新的な技術の発展などにより、量子コンピュータで暗号解読を実現する可能性は否定できません。このため、CRYPTRECでは、量子コンピュータによる暗号技術に対する影響、および量子コンピュータ実現後にも安全な暗号技術(耐量子計算機暗号)に関する監視評価活動を継続していきます。
https://www.cryptrec.go.jp/topics/cryptrec-er-0001-2019.html
もし皆さんが携わるビジネスに暗号化という文言が含まれている場合、ぜひしっかりとCRYPTRECの情報に注目しておいてください。いつか、必ず役に立つはずです。
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