インドネシアにおける日系製造業のIT事情(8)
現地IT市場の変化を読む――2019年に向けた取り組みと中長期的な視点(2/2 ページ)
欧米企業と合併してインドネシアで製品製造を行う工場
次にローカル企業の工場を回る中で、日系企業の他に、欧米の企業と合併してインドネシアで製品製造を行っている工場も訪問している。インドネシアではローカル企業側が51%以上の株式を保有しないと外資企業は会社を作れない。他国の工場でも感じたことだが、欧米系のグループ企業の中では、ITに関する本社コンプライアンスが非常に強く、ローカルサイドが独自にIT製品を選択するケースはなく、その使い方についても厳しいレギュレーションがある。先日その一社に業務フローやIT利用に関するグローバル規約を見せてもらったが、印象的であったのは、システムパッケージについては、カスタマイズはせずに、また、全ての機能を利用することなく限定された導入から始めるといった基本的姿勢が垣間見られた。
当社も2019年に向けて、業種別のテンプレートを付けた「イージースタートバージョン」の準備を進めている。実際の導入でどのような効果を生むかは、実際に幾つかのサンプルユーザーに導入してみないと分からない。しかし、インドネシアの顧客には、とかく、「製品機能が多く、導入が難しいように感じる」といわれる固定観念を払拭(ふっしょく)していかなければならないと考えている。
その他、来期導入を考えている顧客の多くの中には、「インドネシア工場で導入に成功したので、フィリピン工場やベトナム工場でも利用してみたい」とのうれしい話もある。近い将来には、インドネシア発、その他アセアン域への製品利用の拡大プロジェクトが増えてくるのではないか? とひそかに期待している。そのためにも、現在稼働している顧客の運用継続に関しては、メーカーとしてもしっかりウォッチし、問題が起こる前にフェイルセーフで対処する努力が必要と考えている。多くの導入パートナーと顧客との契約が委託契約であるため、一度システムがカットオーバしてしまうと、顧客に追加予算の計画がない限り、既存パートナーでも興味を失うケースも多い。その他の対策としては、その顧客に導入パートナーからその他製品も導入し、顧客とパートナーの長い関係を作ってもらうことも考えられる。
中国に本社を持つインドネシア工場
先日まだ数は少ないが、中国に本社を持つインドネシア工場も訪問した。製品それ自体のパーツはまだ輸入が多いが、インドネシアが得意とする高級家具の技術を利用して、製品の内装をよりゴージャスにするよることにより、他国製品との差別化を目指していた。ここの社長だが、もともとは日系企業で働いていた方で、システム導入にも長く関わってきた人らしい。彼の意見では、「基幹システムは中国本社が使っているもの、もしくは中国本社が独自開発したものを使うべきだ」との話であった。
実際にラインシステムを見学してみると、中国本社から派遣されたIT要員が常駐、現場の人間をよく指導していた。高くなったとはいえ、日本と比較すればまだ安い駐在費用で長くいられるというアドバンテージも背景にはあるのだろうが、工場長に言わせれば、「インドネシアの最低賃金も毎年上がり、近い将来に中国のそれに追い付いてくる。そうなる前に本社の人間を招請して、インドネシア人の気質や考え方を理解させたい」ということのようで、なるほどと感じた。あくまで大手企業に現時点では限られるが、インドネシアの日系工場では、現地要員を逆に日本に送り込み、教育している。そうした予算も来期に向けて計上している企業も多い。ただ一つ問題があるとすれば、そうしたインドネシア人が日本から帰国した際にそのまま、日系企業に残ってくれるか? である。
これまではジャカルタ近郊の工場地域における顧客のIT利用状況をレポートしてきたが、次回からはバンコクからは離れたチレゴン、バンドン、バタム島などでの日系製造業のIT事情を報告する。(次回に続く)
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インドネシアにおける日系製造業のIT事情
インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポートする。
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