IoT in Action
「小さく始める製造業IoT」にマイクロソフトができること(2/2 ページ)
日本マイクロソフトが中心的な役割を果たすIoT関連のコミュニティーと言えば、同社が事務局を務める「IoTビジネス共創ラボ」(以下、共創ラボ)である。このコミュニティーは日本市場におけるIoT普及に向けたエコシステムを構築する目的で2016年2月に設立され、活動内容は技術検証のみならず、人材育成やパートナーマッチングなども含まれている。
「IoT導入のパターン」が見えてきた
共創ラボは2016年2月の発足時には10社であったが、1年後の2017年2月には276社、2018年1月には431社と加盟数を増やしており、2017年には地方都市に本拠を構える企業が幹事を務める「地方版」が幾つか立ち上がった他、xR(AR/VR/MR)やドローンをテーマとしたワーキンググループが発足するなど活況を呈している。
“本家”の幹事を務める東京エレクトロン デバイスの福田良平氏(IoTカンパニー カンパニーバイスプレジデント)はこうした規模拡大に加えて、「ビジネスとしての結実」が複数あったことも大きな成果だとする。
共創ラボは「IoT普及を目指したビジネス検証」がメインテーマであるが、検証の実例としてビジネスが立ち上がることを拒むものではない。実例として紹介されたアクアの「Cloud IoT ランドリーシステム」は、コインランドリーの洗濯機をIoT端末として状況確認や遠隔監視を行う一方、利用者にはスマホを通じてクーポンを配布するなど、「フランチャイズ加盟者の負担軽減」「利用者の利用促進」という2つの目標を達成した。
アクアの事例以外にも複数のビジネス化事例が生まれているものの、ビジネス創造に注力する意向はなく、IoTビジネス共創ラボは「あくまでもAzureをコアにした、パートナーをつなぐハブ」(菖蒲谷氏)としての立ち位置を貫く。
さらにはさまざまな企業が集まる共創ラボで事例を積み重ねたことにより、「特にこの1年、“この目的にはこのソリューションや製品”という類型化のパターンが見えてきた」と菖蒲谷氏は付け加える。これこそ、普及に際して必要な段階である「フルカスタマイズ前提からの脱却」であり、その次にはリピータブルソリューションの存在感が高まる時期が来るはずである。
マイクロソフトとしても、予兆保全など引き合いの多いニーズに向けて類型化したPaaSである「Azure IoT Suite」、IoTに最適化されたSaaSである「Microsoft IoT Central」、よりエッジ寄りの実装が可能なオンプレとクラウドのハイブリッド「Azure IoT Edge」など、IoT導入に際して幾つかの類型化を行っており(Microsoft IoT CentralとAzure IoT Edgeは2018年1月現在、プレビュー提供中)、“小さく始める製造業IoT”への備えを進めている。
「日本企業は諸外国の企業に比べて、デジタルへの取り組みが遅いのかもしれない」と菖蒲谷氏は危機感を示すが、インダストリー4.0やスマート工場などへの関心度が示すよう、デジタル化とその先にあるつながることのメリットは製造業でも十分に認識されている。共創ラボは2018年に1000社の加盟を目指すとするが、それが早い段階に達成される可能性は高い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(製造IT)
「製造IT」をメインテーマに、モノづくり関連セミナーのレポートやインタビューなどを多数掲載。製造現場の課題解決やカイゼン、意識改革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントを提示します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
6
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
7
DMG森精機の欧州深耕
-
8
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
9
QC活動の形骸化はどう防ぐ? 実効性のある業務へ転換する3つの解消策とは
-
10
太陽光発電と蓄電池を最適制御、再エネ活用とコスト削減を両立する製品とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー