IDC Japan|市場動向
“わがこと化”できない日本の現場――AR/VRのビジネス利用で世界と大きな差(2/2 ページ)
AR/VR関連市場の展望
さらに、PCやソフトウェアなどを含むAR/VR関連市場については、ワールドワイドで2021年までに、約1600億ドルに到達すると予想。中でもARのビジネス利用が拡大するとみられており、技術進歩に伴い2019年以降、AR関連が市場をけん引すると考えられる。
世界市場の急速な伸びに対して、「日本市場はそこまでの大きな成長は見込めず、リニアな成長にとどまる」(菅原氏)という。この傾向は世界の他の地域と比較しても顕著で、「ARに関しては日本の成長率の低さが際立っている。米国や西欧との差は非常に大きい」と菅原氏は説明する。
ちなみに、日本市場でAR/VRのビジネス利用をけん引する(成長率の高い)領域は、ディスクリート製造、コンシューマーサービス、プロセス製造であり、「ARを中心に製造業での採用が伸びていくと考えられる」(菅原氏)
2017年、国内AR/VR市場 企業ユーザー調査
では、実際のAR/VRの企業利用の状況(2017年)はどうか。日米欧における比較では米国が9%、西欧が8%であるのに対し、日本ではVRが3%、ARが2%であるという。「この結果からも分かる通り、日本はAR/VRのビジネス利用に消極的である。実際、現場からも『お金がない』『使い道が分からない』といった新技術導入を断る際の決まり文句がよく聞かれ、“わがこと化”が進んでいない。それ故、どのように活用していいか分からない……という状況に陥っている現場が多い」と菅原氏。
国内AR/VRのビジネス利用を業種別で見ると、情報通信業が比較的多く活用しており、製造業が続く。小売・流通に関しては、世界的に利用が進んでいるにもかかわらず、日本での利用はほとんど進んでいない状況であるという。また、教育分野については利用意向が強い傾向にあるが、実際に導入まで至っていない様子が浮き彫りとなったとしている。
ここまでの調査内容からも分かる通り、世界と比較して日本におけるAR/VRのビジネス利用は思うように進んでいない。こうした状況を打破するためのヒントとして、菅原氏は「AR/VRの個人体験率」に関する調査結果を取り上げる。「実は、既にAR/VRのビジネス利用に取り組んでいる人の多くが、個人的にAR/VRを体験したことがあるという結果が出ており、企業での活用(採用)と個人的な体験に相関があることが分かった」(菅原氏)
説明会の最後、菅原氏は「企業におけるAR/VRのビジネス活用は草創期であり、まだこれからの状態だ。個人的な利用体験の機会を増やすなど、裾野を広げていくことが、将来の利用拡大につながるだろう」と提言する。
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