ルネサス R-IN
産業FAは「汎用」「多数」の時代に、国産マイコンが変化を支える
製造業において、これまではFactory Automationに代表されるよう、大量生産こそが生産力であった。しかし、最近では多様性や柔軟性を取り入れる動きが盛んだ。産業機器向けマイコンを手掛けるルネサスは「産業FAは“汎用”“多数”の時代に入った」と指摘する。
製造業の「ものづくり」を取り巻く環境は世界規模で大きく変化している。これまでは大量生産こそが生産力であり、生産工程の自動化を進めるFactoryAutomation(FA)に代表されるよう、その文脈で進化してきた。しかし、最近では世界的にも「つながること」に代表される、多様性や柔軟性を取り入れる動きが盛んだ。ドイツの「Industry 4.0」を筆頭に中国の「中国製造2025」、アメリカの「Manufacturing USA」、日本でも「Society 5.0」が推進されている。
それぞれ細部は異なるが、「ものづくり」が驚くべき速さで変化していることは確かであり、これから起こるであろう変化の一端をルネサス エレクトロニクスの傳田明氏(IAソリューション事業部 事業部長)「これまで産業FAは専用装置を少数配置することだったが、これからは、汎用装置を多く配置することも指すだろう」と表現する。
ルネサス エレクトロニクスの開催したイベント「R-IN コンソーシアムフォーラム」では、同社執行役員常務の横田善和氏(インダストリアルソューショ事業本部 本部長)を始めとした産業領域の担当者が、本領域におけるルネサスの方向性について説明した。
産業FAは「汎用」「多数」の時代に
このR-INコンソーシアムは、ルネサスの産業/FA分野向け製品とその製品を利用したソリューションを、同社とパートナー企業が協力して提案・提供する組織だ。2015年4月より活動しており、2018年1月時点で67社が参加している。
創設当初から「第4次産業革命」や「つながる工場」の実現に向けたサポートを掲げており、現在ではマイコンはもちろんのこと、OSやミドルウェア、プロトコルスタック、受諾開発、コンサルティング業務までも提供できる集団となっており、「お客さまが求めるソリューションを提供する集団として機能している」と傳田氏も体制に自信を見せる。
「製造業を巡る動きは活発化している。これまでは半導体や自動車業界のように該当製造に特化した専用装置で製造することが産業FAであったが、これからは機械や食品のような業界で大量の汎用(はんよう)製造装置が使われるようになる。そうなると、エッジ機器の開発効率とネットワーク化を前提としたソリューション提案が求められるだろう」(傳田氏)
ルネサスはエンドデバイス(組み込み機器)へのAI搭載技術である「e-AI」を2017年6月より提供している。これは稼働中の産業機器に追加搭載(設置)することで、人工知能を活用した予防保全などを実現するソリューションである。
同社ではマイコン「R-IN」や「RZ/G」などにこのe-AIを組み合わせることで、製造業の変化という時流の変化を追い風に、機械組み立てや食品製造といった領域においても、「既存工場のスマート工場化」を推進したい考えだ。
ただ、部品としてのマイコンとソリューションの提供では「今すぐ使いたい」という要望には応えられない。そこで2017年11月より提供しているのが 、マイコンを搭載したAI実行デバイスを用意、産業FA機器に“ポン付け”することでスマート工場を容易に実現する「AIユニットソリューション」だ。
AIユニットは深層学習の実行を担うデバイスともいえるが、処理はユニットだけで完結するのではなく、分析と判定の結果は推論を担うPCやサーバに送られて処理されるため、AIのモデルも順次アップデートされる。これは製造業向けの「組み込みAI」として注目される手法であり、ルネサスとしては産業FA分野において自社マイコンを推論側デバイスのコアとして訴求していく考えだ。
「(ルネサス製マイコンを使った異常検知や予知保全、品質検査などスマートファクトリソリューションの提供先として)ロボットや工作機、サーボモーターが対象になる産業FA領域はここ1年半ほど大きく成長した領域だと感じている。これからは組み立てや食品などの領域にも視野に入る」(横田氏)
マイコンの能力は3年で10×10×10、1000倍に向上
マイコンを利用したスマートファクトリを機械や食品などの軽工業に拡大することが当面の作戦であると横田氏は述べるが、マイコンの機能強化による適用範囲も計画している。「2018年夏にはRZ/Aシリーズにリコンフィギュアブル(再構成可能)製品を投入する。向こう3年間で10×10×10、1000倍の能力向上を果たす予定なので、その頃の性能はFPGAに迫るはずだ。簡単な学習ならばエンド側で可能になっているだろう」(横田氏)
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