TechFactory通信 編集後記
新iPhoneの「波及効果」が実装の世界に
夏が終わりに近づくと「新iPhone」の時期。製造側の目線で部品や部品製造するプロセスまで思いをはせると、気が付かなかったストーリーが見えてくるかもしれません。
秋が近づくと「新型iPhone」の話を見聞きする機会が増えます。現行製品は2016年9月7日(米国時間)に発表された「iPhone 7」「iPhone 7 plus」で、これらはSuicaや防水・防塵(じん)への対応、感圧式ホームボタン、ダブルレンズ(iPhone 7 plusのみ)などの機能や装備もあって高い人気を得ています。
それに加えて、今日的なスマートフォンの基礎を作ったモデルでもあるiPhoneは周囲に強い影響力を持ちます。それはアプリ開発者やケースなどアクセサリーを製造販売するサードパーティー、iPhoneを構成する部品を納入するサプライヤーなど多岐にわたっています。iPhoneに部品を供給するサプライヤーは一部が「日本におけるAppleの雇用創出」のなかで公表されており、京セラや帝国インキ製造、カシュー、カンタツといった企業の名前を確認できます。
さて今秋に発表されるといわれている新iPhoneですが、iPhoneの発売から10周年というタイミングになることもあり、「10周年のプレミアムモデルとしてiPhone 8が登場し、既存の後継モデルとしてiPhone 7sとiPhone 7s Plusが登場する」など華やかな予想も登場しています。
その新iPhoneですが、機能的にはワイヤレス充電対応や虹彩認証と顔認証を複合させた認証機能、ハードウェアとしては新チップ「A11」、OLED(もしくはAMOLED)搭載などがウワサされています。ウワサは希望的観測に基づくものもあれば、過去にもiPhoneについての予測を発表しているアナリストによるものまで千差万別です。
ここで新iPhoneの詳細を予想するつもりはありませんが、新iPhoneのOLEDモデルにはフレックスリジッドプリント配線板が採用されると予想する調査会社がありました。これはリジット基板とフレキシブルプリント配線板を一体化させることで軽量化や薄型化、低背化を可能とする実装技術で、iPadでの採用(2012年)で需要を拡大し、その後に産業機器や医療機器などへと利用範囲を広げたという実績を持ちます。
このフレックスリジッドプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板(FPC)に比べ伝送ロスが少ないというメリットを持ち、OLEDと組み合わせる実装基板に適すると言われます(しかしながらFPCに対しては一般に歩留まりが悪いと言われます)。これから本格的な普及が進む段階にある技術ですが、前述の調査会社では新iPhoneでの採用により、2017年は前年比2.4倍の市場に成長すると予想しています。
フレックスリジッドプリント配線板と同様、MSAP(Modified Semi Additive Process:微細配線をメッキで成形する手法の1つ)を導入したAnyLayerタイプのビルドアップ基板も新iPhoneに採用されると予想されており、前述の調査会社では2022年には登場するスマートフォンの3割以上がこのタイプの基板を採用するまでに普及するだろうと予想しています。
iPhoneの経済効果という言葉を使うと、スマホを販売する販売店やアプリ開発元、アクセサリーを製造販売するサードパーティー、部品を納入するサプライヤーに波及する経済効果を指し、広く範囲をとっても「日本におけるAppleの雇用創出」が示すようにそれら企業の雇用創出まででしょう。ですが、フレックスリジッドプリント配線板やMSAP混載AnyLayerタイプのビルドアップ基板など、これから普及していこうという技術の発展を促進するという効果もあります。
新製品が登場した時、利用者目線でその機能やデザインを確認するのはもちろんですが、製造側の目線で部品や部品を製造するプロセスまで思いをはせると、気が付かなかったストーリーが見えてくるかもしれません。
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TechFactory通信 編集後記
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