TechFactory通信 編集後記
ヤマト、日通が製造分野に進出!? デジタル製造が異業種参入を加速
3Dプリンタをはじめとする「デジタル製造」によるビジネスが、異業種からも注目されつつあります。
2017年1月27日――。大手物流企業2社が、同じ日にそれぞれ「3Dプリンタ」関連の新規事業/業務提携に関するニュースを発表しました。
1つは、日本通運とカブクによる「デジタル製造(3Dプリント製造)のグローバル物流に関する業務提携」です。“モノづくりの民主化”を推進するカブクが提供する3Dプリント技術によるオンデマンド製造サービスにおいて、日本通運が製造物/関連物品の輸送、製造物の保管といった物流サービスを提供するというものです。カブクの保有するデジタル製造技術を活用したマスカスタマイゼーション(個別大量生産)のノウハウを日通に提供しながら、多様化する製造ニーズに対応していくのだといいます。このサービスは国内だけをターゲットにしたものではなく、世界30カ国以上にある工場をネットワークでつないだオンデマンド製造サービスを提供するカブクと、世界42カ国662拠点に広がる物流ネットワークを展開する日本通運が連携することで、グローバルにデジタル製造サービスを提供できる体制を構築するとしています。
もう1つが、ヤマトホールディングスによる発表です。
グループ傘下のヤマトシステム開発が、ヤマトグループの総合物流ターミナルである羽田クロノゲートに、「3Dプリントセンター」を開設し、国内初をうたう「3Dプリント・配送サービス」を2017年2月1日から開始するというのです。このサービスではオーダーメイド製品や少量多品種生産が必要な事業者に、3Dプリンタ用のデータ作成から造形、配送までをワンストップで提供するそうです。ヤマトグループで培ったICTのノウハウに3Dプリンタによるデジタル製造を組み合わせ、そこにグループの強みであるスピード輸送ネットワークを掛け合わせる形で、これまでにないサービスを提供するとしています。ヤマトグループが、3Dプリントデータを作成するために必要な“型(ベースとなる物)”を回収して、ヤマトシステム開発の3Dプリントセンターでそれを3Dスキャンして、3Dプリンタ用のデータを作成するか、あるいは既に3Dプリントデータを持っている場合は、それをヤマトシステム開発に送れば3Dプリンタで造形してくれるそうです。回収と造形物の配送に関しては、物流業の強みを存分に発揮できます。まずは、オーダーメイドで少量多品種の製造が必要な治療用装具、医学模型市場からサービスの提供を開始するそうです。
前者の日本通運とカブクによる取り組みは、双方の強みをうまく融合させた業務提携といえるでしょう。3Dプリンタによる製造は、もともとカブクが展開していたデジタル製造の枠組みを活用し、物流に関する部分を日本通運の物流ネットワークが一手に引き受けて、マスカスタマイゼーションのニーズに応えるというものです。後者と比較すると、デジタル製造を手掛けてきたカブクのノウハウや枠組みを活用できる点、両社の世界拠点を活用できる点で優位性があるようにも感じます。
そして、後者のヤマトホールディングスの取り組みは、自ら3Dプリント製造拠点を持ち、オーダーメイドで少量多品種の製造が必要なニーズに応えていくもので、今後の需要拡大、諸外国への展開を見据えた戦略といえます。当面は治療用装具、医学模型市場からのサービス展開となるようですが、収益性の高いアフターマーケットパーツの3Dプリント製造など、欧米が先行してビジネスを展開しているような領域にも踏み込んでいけるのではないでしょうか。
3Dプリンタ市場は、産業用のハイエンド機種を中心に成長傾向にあります。また、3Dプリンタの利用も、これまでの試作やデザイン検証だけでなく、最終製品、オーダーメイド品、アフターマーケットパーツといった本格的な製造にまで発展していくものと思われます。両社は、こうした時流にうまく乗ることができるのでしょうか。引き続き、両社の動向に注目していきたいと思います。
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TechFactory通信 編集後記
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