組み込み開発視点で見る「IoTの影」(5)
ユーザーが意識しないIoTセキュリティを実現する(4/4 ページ)
もはや単一手段では対策しきれない
IoTシステムの保護という観点で考えなければならないのは、感染することで「開発中あるいは運用中のIoTシステムを攻撃する」ケースと「それらのシステムを踏み台にして他の対象に攻撃を仕掛ける」ケースがあるということだ。
感染してしまっても、そのサービスを利用する第三者が攻撃対象であれば、マルウェアは姿を隠し、獲物がやってくるのをひたすら待ち構えていることになる。生物ではないので、何カ月でも何年でも潜むことは容易だ。ましてや、正規のファイルに潜んでいるようなものを見つけるためには、それらが侵入する経路を検討し対策を施す必要がある。一例を挙げれば、「外部からウェブサイトの書き換えが行えないようにする」などといった対策だ。
実際、あるベンダーは書き換えを検知してファイルを元に戻す作業を攻撃のたびに繰り返したが、発見してから正しいファイルに復元するまでの間に感染したファイルをダウンロードされてしまっている。つまり、ダウンロードする側が安全なファイルだと確認するための手段を用意する必要があるということになる。具体的には、コードサイニング証明書付きのダウンロードファイルにするなどの手段が考えられる。
コードサイニング証明書は、ファイルが改ざんされていないことを証明することのできるものであるが、それでも危険がないわけではない。2012年にアドビはこのコードサイニング証明書の不正利用があったことを発表している(セキュリティ情報 : コードサイニング証明書失効のお知らせ)。
前回(組み込み開発視点で見る「IoTの影」(4):「IoT」のためだけではない、セキュアなプラットフォーム)述べた暗号や上記の証明書といった数学的に比較的安全といえる技術にも、それぞれ課題があるということだ。
一般のPCやサーバのようにコンピューティングリソースが豊富であればより多くの保護技術を組み合わせることができるが、いわゆる組み込み機器のリソースは限られる。いずれにせよ「積極的に保護するための技術」と、「問題発生後にとれる対策」を組み合わせて実装する必要がある。
具体的には、アンチウイルス製品やホワイトリスト、ファイアウォールやサンドボックス、プロセス管理、アクセス管理、パッチ管理、脅威情報の導入などによるプロアクティブな保護だけではなく、攻撃されたあとどのように攻撃されたのか解析してレポートを作成する、復旧計画の立案と実行などが求められていることが分かるだろう。
そして、これらはIoTの提供者が準備することになるわけで、ユーザーに何かを求めるのは酷であり現実的ではないだろう。
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