組み込み開発視点で見る「IoTの影」(5)
ユーザーが意識しないIoTセキュリティを実現する(2/4 ページ)
IoTシステムのセキュリティ全体像を把握する
もしIoTが「利用者が意識せず」生活を豊かに、社会を陰ながら支えてくれるものだと考えるならば、IoTのセキュリティはユーザーが「意識せずに」実現できることが望ましい。そんなIoTシステムのサイバーセキュリティ対策の全体像を、開発者であればきちんと把握しなければならないだろう。
2015年12月、経済産業省から「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」が公開されているが、これは技術について個別に解説していない、あくまでもビジネスの観点で「どのような対策を講じ、攻撃を受けた場合にどう対処すべきか」の概念を述べているにすぎない。具体的な対策として何を行えばいいのかは、これだけでは見えてこないかもしれない。
さらに踏み込んだ指針が2016年7月に同じく経産省から公開された「電力分野における サイバーセキュリティ対策について」である。追って同月に発表された「サイバーセキュリティ対策の保安規制への取り込みについて」によれば、従来の保安対策にサイバーセキュリティ対策も取り入れていくということであり、今後、他の重要インフラ分野に対しても同様な指針とガイドラインが準備されることになると思われる。
くしくも2016年11月15日には米国の国立標準技術研究所(NIST)と国土安全保障省(DHS)の2カ所から、IoTを包含するサイバーセキュリティについての指針が発表されている。まず、NISTのガイド「Systems Security Engineering:Considerations for a Multidisciplinary Approach in the Engineering of Trustworthy Secure Systems」を斜め読みしてみる。
対象となるシステムは今日の複雑かつ動的で相互接続されるもので、CPS(Cyber Physical System)、SoS(Sysmtem of Systems)、そしてIoTとある。そして、ISO/IEC/IEEE 15288を指針としていかに管理できるかが書かれている。キーワードは要所要所で登場してくるので列挙はしないが、“2.3 SYSTEM SECURITY PERSPECTIVE”の文中に大きく書かれていることを開発者はかみしめるべきだろう。
Don't focus on what is likely to happen -- but instead, focus on what can happen and be prepared.
起こりそうなことに注目せず、起こりうることに注目して準備する。赤壁の戦いでの魏軍の大敗、源義経の鵯越(ひよどりごえ)の奇襲、第二次世界大戦初期の電撃戦によるドイツのフランス侵略。歴史に多くの例があるよう、想像していないところから敵がやってくる可能性がある。
サイバーセキュリティ的にはもはや都市伝説でしかない「インターネットにつながっていないから安全」というような意識がどこかにないだろうか。攻撃する側になって「可能性を否定しない検討」をする必要があるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発視点で見る「IoTの影」
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー