TechFactory通信 編集後記
リスクを制御するため、あらためて確認したい「機能安全」の考え方
木製展示物の火災事故などここ最近、人が作ったモノに起因するトラブルが相次いでいます。製造業に携わる以上、自分たちが作りだしたモノが原因で事故が起こることは可能な限り避けなければなりません。そこで今回は「機能安全」についてあらためて考えたいと思います。
明治神宮外苑にて発生した木製展示物の火災事故や博多駅前の道路陥没など、ここ最近、人が作ったモノ(道路はちょっと毛色が違いますが……)に起因するトラブルが相次いでいます。製造業に携わる以上、自分たちが作りだしたモノが原因で事故が起こることは可能な限り避けなければなりません。そこで今回は「機能安全」についてあらためて紹介したいと思います。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、「機能安全」とは安全な製品を開発するために有効と考えられる管理や適用手法を定めたものです。具体的には国際規格である「IEC 61508」をベースに、自動車であれば「ISO 26262」といったように、製品分野ごとで専用規格が用意されています。詳細は論を別にするとして、「安全を確保するため」に製造側がどのような考え方を持つべきでしょうか。
(初出時、IEC 62304についての記載に誤りがありましたので該当箇所を訂正させて頂きます 2016/11/21 18:38追記)
例として小さな子どもが異物を誤って飲んでしまう事故である「誤飲」を、おもちゃメーカーの立場で考えます。
絶対的な安全を確保する方法はおもちゃを与えないことです。こうすれば誤飲は発生ませんが、子どもはおもちゃで遊べなくなります。おもちゃ製造販売をなりわいとするおもちゃメーカーとしては、この方法は選択できません。
そこで、鍵の掛かる箱を付属品として用意し、遊び終わったおもちゃをそこに片ずけるようにします。この方法ならば子どもはおもちゃで遊ぶことができ、なおかつ、誤飲の危険性を下げることができます。前者の原因そのものをなくしてしまう、あるいは低減する手法を「本質安全」、機能的な工夫を凝らすことで許容可能な安全を確保する後者の手法を「機能安全」と呼びます。
完全な安全を指向するならば本質安全の考え方で行動すべきとなりますが、それでは安全が保証される代わりに何もできなくなる可能性も高くなります。最大限の安全と得られるメリットのバランスを取ることが機能安全の目指すところであり、「リスクをゼロにするのではなく、リスクを制御可能な状態に置く」ことが機能安全の目的です。
おもちゃメーカーが誤飲を防止したいと考えるならば、“お人形のおうち”のように遊び終わった後に片付ける箱を付属品として用意する、おもちゃを子どもの口に入らない大きさまで大きくするといった手段を講ずることが、機能安全の考えに沿ったアプローチと言えましょう。
もちろん、これは非常に簡略化した話であって、機能安全の全てではありません。しかし、「考えられるリスクを可能な限り想定し、どのように危険性を下げるかを検討する」ことは全ての製造物に関して必要なことといえます。
製造業においては近年市場ニーズの変化が激しく、リスクの想定や対策に費やす時間が業務負荷となることは分かりますが、PL法の施行などもあり事故が起きた際に製造物の責任がより詳細に求められるようになっていることも事実です。
そしてなにより、事故が起きてからでは遅いのです。自らの手掛けるものが「安全」であるか、あらめて確認することを最近起きた事故からの教訓としたいところです。
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TechFactory通信 編集後記
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