CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き(3)
デスクトップ仮想化「導入までの流れとポイント」【前編】(2/3 ページ)
1つ目のポイント:導入目標の策定において軽視できない2つの目的
導入目標の策定自体はどんなプロジェクトでも当たり前に行うことであるが、ここでは2つの重要な目的を持つ。
まず1つ目の目的は、達成すべき期待効果を明文化し、経営者や利用者と合意することにある。デスクトップ仮想化を導入して何を改善し、何を得るのか。代表的な導入目標を列挙する。
| 視点 | 期待効果 |
|---|---|
| 利用者 | モバイル・在宅勤務 俊敏性・柔軟性 生産性向上 |
| 管理者 | セキュリティ 統制・データ保護 ユーザー側管理業務の削減 事業継続性 |
| 表1 利用者/管理者視点での期待する効果について | |
セキュリティ強化を目標に挙げる企業は非常に多い。製造業の設計データは知的資産そのものであり、データの流出は何があっても許されない。また、ワークスタイル変革の礎としてデスクトップ仮想化に取り組む企業も増加傾向にある。無論、IT統制や管理性の向上、事業継続性の担保なども目標になり得る項目ではあるものの、管理者側よりも利用者側の期待効果を前面に押し出す方が全社の理解が得やすい。
2つ目の目的は、利用者要求の取捨選択のための試金石を得ることにある。デスクトップ仮想化はPCやワークステーションに酷似しているものの、導入目的も運用も異なる。従って、導入目標の達成のためにデスクトップ仮想化の運用がPCやワークステーションから変わることは至極当然である。しかし利用者の多くは、デスクトップ環境を自分の箱庭と捉えているため、大きな変革を嫌う。ここで発生する利用者からの要求に対処すべきか一つ一つ判断する際の試金石となるのが、策定した導入目標である。
例えば、デスクトップのカスタマイズについての要求はどうか。導入目標が“統制・データ保護”であれば、利用者の自由度を最小限に抑える必要がある。従って、よほどの正当な理由がない限りデスクトップのカスタマイズは却下すべきであろう。
では、USBメモリの利用に関する要求はどうだろうか。デスクトップ仮想化導入で“セキュリティ強化”を目標に掲げているとすれば、情報漏えいに直結するUSBメモリの利用要求は単純に認められない。この際、管理された特定のUSBメモリの利用に限定するか、あるいはUSBメモリを利用しないで済むよう業務フローを変更してもらうことが必要となる。
これらの例のように、導入目標を基に要件対応方針が決まる。デスクトップ環境を理想に近づけるとともに利用者の要求を可能な限り実現するためには、導入目標を明確化し、ぐらつかせないことで公平性を醸成することが肝要だ。そうでない場合、期待効果が得られず導入が頓挫する。そういう事例は残念ながら少なくない。
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CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き
設計・解析の現場でも、デスクトップ仮想化の一方式であるVDIに対する関心が高まっている。連載「CAD/CAE環境をVDIへ移行するための 手引き」では、VDIの基礎解説や導入メリット、運用ポイントなどを分かりやすく解説していく。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デスクトップ仮想化][VDI][CAD][CAE][導入][運用][移行]
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