組み込み/IoT機器開発で使えるWindows(2)
多機能化される機器開発に最適な「Windows 10 IoT Enterprise」(2/3 ページ)
(3)サービシングモデルと供給期間
前回の記事でも紹介したように、Windows 10からは「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」が導入され、セキュリティ更新プログラムやWindowsの新しい機能を定期的に受け取ることができるようになりました。これにより、常に最新のセキュリティ更新プログラムを適用した状態で使用することができます。
しかし、こうしたPC向けWindows 10の進化スピードは、“組み込み/IoT機器の環境には早過ぎる”といった側面もあります。
一般的に組み込み/IoT機器では、更新プログラムを事前に検証し、システムやアプリケーションとの互換性のテストを行う必要があります。また、特定用途向けのシステムであるが故に機能アップデートは不要で、“固定したバージョンのOSで運用し続けたい”といったような要望もあるでしょう。
そのため、Windows 10 IoT Enterpriseでは「Long Term Servicing Branch(LTSB)」というサービシングモデルで提供されています。LTSBでは、セキュリティ更新プログラムのみを受け取ることができ、機能の追加アップグレードは2~3年に一度の間隔でリリースされることになっています。また、10年間のサポートと供給スケジュールが設定されますので、長期間使われる組み込み/IoT機器に最適です(表1)。
| ライフサイクル開始日 | メインストリームサポート終了日 | 延長サポート終了日 | EOL(End of Life) | |
|---|---|---|---|---|
| 2015年7月29日 | 2020年10月13日 | 2025年10月14日 | 2025年11月14日 | |
| 表1 Windows 10 IoT Enterprise 2015 LTSBのサポートと供給期間(出典:東京エレクトロン デバイス) | ||||
(4)コスト面でもメリットがある専用機器向けライセンス
「組み込み向けのWindows」と聞くと、OSライセンス料が高額なのでは? と思われるかもしれません。しかし、Windows 10 IoT Enterpriseは専用機器向けとして用途が限定されている分、ライセンス料も抑えられています。
さらにWindows 10 IoT Enterpriseには、用途に合わせた安価なライセンスも用意されており、例えば小売業向け機器、シンクライアント、タブレット端末といった組み込み機器にWindowsの搭載を検討されているようでしたら、OSライセンスのコストを通常よりも大幅に下げることが可能です(表2)。
※補足:タブレット端末向けSKUには、画面サイズや利用できるCPUなどに条件があります。
| エディション | SKU | 概要 | |
|---|---|---|---|
| Windows 10 IoT Enterprise | Windows 10 IoT Enterprise 2015 LTSB | ミッションクリティカルな産業用デバイス向け | |
| Windows 10 IoT Enterprise for Retail or Thin Client |
Windows 10 IoT Enterprise 2015 LTSB for Retail or Thin Client |
小売業またはシンクライアント向けに制限されたライセンス | |
| Windows 10 IoT Enterprise for Tablets |
Windows 10 IoT Enterprise 2015 LTSB for Tablets |
ディスプレイサイズが10.1インチ以下の組み込みタブレット向け | |
| Windows 10 IoT Enterprise for Small Tablets |
Windows 10 IoT Enterprise 2015 LTSB for Small Tablets |
ディスプレイサイズが7インチ以上9インチ未満の組み込みタブレット向け | |
| 表2 Windows 10 IoT Enterpriseの個別エディション(出典:東京エレクトロン デバイス) | |||
Windows 10 IoT Enterpriseのシステム要件
ここまで、Windows 10 IoT Enterpriseの特徴を説明してきました。では、実際にどの程度のハードウェアスペックで動作するのか、システム要件を見てみましょう(図3)。
ご覧の通り、PCと同等のシステム要件になるため、組み込み/IoT機器としては比較的高いスペックが要求されます。従来の「Windows XP Embedded」や「Windows Embedded Standard」シリーズのように、コンポーネントごとに不要な機能を減らしOSのフットプリントを削減するようなことはできませんが、“PCとの互換性を重視し、多機能化・高度化する組み込み機器向けのOS”であると考えると、仕方がないのかもしれません。
より低スペックで動作するOSが必要な場合は「Windows IoT Core/Core Pro」エディションが最適な選択肢になります。こちらについては、次回詳しく解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み/IoT機器開発で使えるWindows
マイクロソフトの組み込み/IoT機器向けOS「Windows Embedded/IoT」の導入メリットとは? Windows Embedded/IoTの最新情報や活用ポイントを、他の組み込みOSとの違いを交えながら詳しく解説する。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
ものづくり白書2026を読み解く
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
3
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
4
プリント基板設計の課題を乗り越えた成功事例集
-
5
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
6
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
7
若手設計者が育たない? 「探す」時間を「学ぶ」時間に変えるデータ管理とは
-
8
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
9
製造現場の“人材育成の課題”を一掃、階層別に必要な知識を習得する秘策とは?
-
10
半導体商社 業績まとめ【2026年3月期通期】
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー