CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き(2)
デスクトップ仮想化がCAD、CAE現場にもたらすメリット(2/2 ページ)
デスクトップ仮想化で一気に解決!
デスクトップ仮想化でどのように問題を解決できるのか。それぞれユーザー視点・管理者視点および費用対効果の視点で整理してみよう。
業務効率性
■俊敏性・柔軟性
- 人的リソースの流動化に合わせて、必要な場所で作業を行える環境を迅速に提供できる
- メモリやCPUの消費の増減が激しいCAEのようなシステムに対し、業務負荷に応じたリソース増減を行い、柔軟な運用ができる
- ロケーションやシーンに応じて使用する端末やデバイスが異なっても、同一のデスクトップ環境が利用できることから、データ同期をすることなく業務を再開できる
- CAD、CAEなどのデジタルエンジニアリングツールのバージョンが統一化されることで、データのバージョン差異によるマージ対応工数が削減できる
管理/セキュリティ面
■セキュリティ向上による安定的な業務遂行の実現
- 可搬性のある端末のローカルHDDにデータが残らないため、紛失や盗難、マルウェア感染による情報漏えいのリスクが低い
■統制・データ保護の実現
- データがPCやワークステーションなどの端末側ではなくサーバ側に集約管理されるため、端末側の不具合・故障でデータが欠損することを防げる
- サーバ側で集約管理されることで、ソフトウェアのバージョンの統一、不具合や脆弱性への対策、マルウェアといったウイルス対策を一元的に行える
コスト面
■ソフトウェアやハードウェアの最適化
- ワークステーションやサーバなどハードウェアの最適化
高価なワークステーションを設計者人数分用意する必要がなく、またサーバ負荷を把握した上で必要なリソースを確保できる - CAD、CAEなどのライセンスが同時アクセス数の形態の場合、デスクトップ環境の使用率=ライセンスの使用率と捉えられるため、ライセンス数の最適化を図れる
■運用コスト削減
- システム運用/付帯作業の削減
アプリケーションのインストール、バージョンアップ、OSセキュリテイパッチ適用などの端末単位で必要となる作業工数の大幅な削減
デスクトップ仮想化導入の付加価値
デスクトップ仮想化は上記の問題の解決だけでなく、新たな働き方を実現するポテンシャルを持つ。これについてもユーザー視点・管理者視点および費用対効果の視点で整理してみよう。
ユーザーの視点
■モバイル・在宅勤務
- 画面イメージを転送する仕組みのため、従来のPCに加え、タブレットなどのモバイル端末からも利用できる
- 自宅や外出先など場所にとらわれず利用できるため、オフィスでの稼働時間が減り、照明、空調、PC機器などの電力消費を削減できる
- 個人所有のPCやモバイル端末を利用するBYODも選択可能となる。この場合、利用者の端末を企業側で管理する手間がほぼなくなる
■生産性向上
- モバイル端末で場所を問わず利用できることから、移動や待ちなどの隙間時間を活用できる
管理者の視点
■事業継続性の向上
- 環境が固定されないため災害時に出社できない場合でも、在宅や別のロケーションから業務継続を可能とする
- 端末側の障害発生時の業務復旧時間の削減ができる
デスクトップ仮想化はリードタイム短縮を含む新たな挑戦への戦略的投資
企業競争力の向上に不可欠となるデジタルエンジニアリング進化のためには、設計環境の環境整備が肝要であり、デスクトップ仮想化導入がその近道である。さらに、モバイル・在宅を含む新たなチャレンジにもつながるソリューションであることを述べてきた。
一方で、初期導入コストは、シンクライアント端末、バックアップを含めたサーバ側の構築が必要となることから、ワークステーションの初期導入費用より大きくなる。そのため、定量面・定性面の導入効果を、ユーザー側・システム管理側両面から明文化し、費用対効果を算定する必要がある。デスクトップ仮想化は単なるワークステーションの置き換え施策ではない。本質的な導入意義は、リードタイム短縮を目的とした効率性・生産性の向上である。コストではなく戦略的投資であることを踏まえることが重要である。
さらに、デスクトップ仮想化の導入は、近視眼的で個別最適な施策としてではなく、目指すべきデジタルエンジニアリング環境を描いた上で、全体整合のとれた施策として実施されるべきある。
デスクトップ仮想化を導入する際、何をどう進めるべきか悩んでいる企業は非常に多い。次回、導入に向けた検討の流れとポイントについて説明する。(次回に続く)
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CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き
設計・解析の現場でも、デスクトップ仮想化の一方式であるVDIに対する関心が高まっている。連載「CAD/CAE環境をVDIへ移行するための 手引き」では、VDIの基礎解説や導入メリット、運用ポイントなどを分かりやすく解説していく。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デスクトップ仮想化][VDI][CAD][CAE][導入][運用][移行]
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