RISC-Vエコシステムの興隆を妨げる問題とその解決案:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今月はRISC-V International CEOであるCalista Redmond氏がRISC-V Days Tokyo 2022 Autumn基調講演で示した、RISC-Vエコシステムで問題と考えられる事柄に対しての解決案について紹介する。
11月の最大の話題はRapidusの設立と思うが、これに関しては既に多くのニュースや記事が掲載されているので今回はパスさせていただく。グローバルに目を向けると、5nm/4nm世代の製品の本格出荷が始まったのが11月、というのはあるが、これもある意味Product Pipelineが正常に動作しているという以上の話ではなく、現在は3nm世代に向けて各社しのぎを削っている格好。TSMCとSamsungはどちらも3nm世代の量産が始まっており、後はIntelが本当にIntel 4の量産が開始できるかどうかだが、こちらの量産開始は2023年なので現状ではお届けできるような話はない。強いて言えば、11月13日からダラスで開催されたSC22で、IntelはXeon MAX/Data Center GPU MAXという新ブランドを発表した他、アルゴンヌ国立研究所に納入予定のAuroraのUpdateに関する動画を公開したものの、肝心のスコアはTOP500のリストに未登録のままで、また稼働時期も2023年初頭にずれることが明らかになった事がニュースと言えばニュースなのだろうが、要するにその性能は来年6月に公開される次のTop500リストまで不明なまま、という以上の話ではない。
そうした比較的華々しい(?)ニュースの陰で、今年も11月16日から18日の3日間、RISC-V Days Tokyo 2022 Autumnが開催された。EdgeTech+(昨年はET&IoT 2021だったが、名称が変更になった)との併催で、さらにオンラインでの参加も可能という、利用者にはありがたい構成だった。実は昨年はのっけで慶応大学の天野英晴教授がやらかしてくださったおかげで、筆者の記事もかなり読まれた模様だ。残念ながら今年はこういった刺激的な話は飛び出さなかったのだが、筆者が今のRISC-Vエコシステムで問題と考える事柄に対しての解決案につながる話が、RISC-V International CEOであるCalista Redmond氏の基調講演の中で紹介されたので、この話をお届けしたいと思う。
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