AMDによるXilinx買収、両社のメリットと思惑:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2020年10月の業界動向の振り返りとして、AMDによるXilinx買収の話題をお届けする。
2020年10月は月の後半に突如として大型M&Aが発生した。まず10月20日にIntelのNANDビジネスをSK Hynixが90億ドルで買収。次いで10月27日にはAMDがXilinxを350億ドルで買収。そして10月29日、MarvellがInphiを100億ドルで買収した。今回はこの中からAMDによるXilinx買収の話題をお届けしたい。
このAMDによるXilinx買収、10月8日に米国の複数メディア(例えばWall Street Journal)が報じ始めた事に端を発する。後述する買収スキームはこの10月8日を基準日に定めており、恐らくは意図的なリークが行われたのだろう。買収総額は350億ドル相当となるが、これは株式交換の形で行われる。買収に当たってはXilinxの1株をAMDの1.7234株と交換する形になっており、発表時点における株価で言えばXilinxの1株をおおよそ143ドル相当で買収することに相当する。10月8日におけるXilinxの株価は106ドルほどであり、34%ほどのプレミアを載せた形になる。ちなみにこの買収が成立した場合、現在のAMDの株主は買収後のAMDの株のおよそ74%を保有、現在のXilinxの株主は残りの26%を保有することになる。既に両社の取締役会はこの買収を承認しており、今後両社の株主総会での決議を経て、各国の規制当局の承認の取得後に買収が完了することになる。現時点では買収完了を2021年末に予定している。
さてこの買収であるが、AMDの側から見るとメリットしかない。
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