製造業におけるAIの活用ノウハウと落とし穴:製造業のIoTスペシャリストを目指そう(12)(2/3 ページ)
製造業におけるAI活用に注目が集まっています。ですが、「AI」は工作機械のように導入すれば結果が得られるというものではありません。今回はAIを製造業務で活用するためのノウハウとその注意点について学びます。
(3)精度の高いデータの入手
AIは全て実施してくれるわけではありません。AIはデータを基に判断をします。別の言い方をすると、精度の高いデータを多数収集(用意)する必要があります。「Googleの猫」においては、Googleが多数の画像を収集することが可能な検索機能を持っているため、大量の猫画像を収集できる環境にありました。
今後、AIを活用できるかどうかについては、この精度の高いデータをいかに充実させるかが大きなポイントになります。データ収集による差別化を考えた際のポイントは下記の3点です。
- (1)自社にしか無いデータの活用
- (2)新しいデータの収集
- (3)データの融合(単独では意味の無いデータを複数融合させると新たな知見となる)
特に難しいと予想できるのが、異常(故障など)時のデータを集めることです。この解決方法としては、メーカーとユーザーが協力し、出荷されている製品の稼働データを収集するといった取り組みが求められるでしょう。
(4)現場でのAI適用について
AIを活用する際に重要なポイントである、「現場への適用」についての考え方をお話します。現場にAIの現場導入を進めていくと、「現場からみたAI(人工知能)に対する不信感」「AI(人工知能)により自分を仕事が奪われる恐怖」「AI(人工知能)により発生した問題に対する責任の所在」といった問題が発生する可能性が高いです。
解決方法はいろいろ考えられますが、まず肝心なことは「AI(人工知能)は課題解決の手段」であり、人とAI(人工知能)をうまく両立させる仕組みを構築することです。これはIoT導入にもいえることであり、極端に言うと某自動車メーカーが主張している「IoT/AIの最終目的は人材育成である」という考え方が、こうした問題を解決できるヒントといえます。
今回の問題
それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します。今回は、上記のAIに関連する問題です。
問題(12)
IoT(Internet of Things)にて収集したデータをAI(人工知能)により分析することで製造業の業務改善に役立てることができます。その際には、各種の手法と特徴を理解しておく必要があります。次のデータ分析に関連する内容として、最もあてはまらないものを1つ選びなさい。
- 次元圧縮は、多次元からなる情報を保持したまま、少ない次元の情報に落とし込むことであり、データの可視化などに利用される。
- 深層学習(ディープラーニング)においては、全くデータを入力しなくても新たな判断が導き出せるため、人間のような強いAIが可能になる。
- 生産性向上にAI(人工知能)を適用する際、強化学習を適用すると「生産性(生産量/労働投入量)の定量的結果を報奨(得点)とすることで」、生産性が向上する組み合わせを学習することが可能である。
- 設備や機器の異常発生データが無い状態でも、クラスタリング技術を使えば、データの変化(過去と異なるデータ)を検出可能であり、データ変化の発生を点検員にアラート(警報)することで早期の故障の検出が可能になる。
※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。
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