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製造業における燃料電池活用、ポーライトが自社工場に産業用燃料電池システムを導入Bloom Energy Japan Bloomエナジーサーバー(1/2 ページ)

軸受製造などを手掛けるポーライトは、工場の安定稼働や電力コストの削減を目的に、産業用の燃料電池システムを埼玉県熊谷市にある自社工場に導入した。都市ガスの供給エリア外で燃料電池を活用する仕組みを整えたユニークな事例といえる。

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 軸受製造などを手掛けるポーライト(さいたま市)は、埼玉県熊谷市の工場に産業用の燃料電池システムを導入した。ベース電源として工場の安定的な稼働や電力コストの削減に活用する狙いで、2017年1月24日から運転を開始した。製造業が燃料電池を活用するメリットが見えた好事例であり、都市ガスの供給エリア外における産業用燃料電池の活用方法としても先例となる事例だ。同年2月10日に、現地で運転開始式が開かれた。

 導入した燃料電池システムは、ソフトバンクグループで発電事業を行うBloom Energy Japanが販売する産業用燃料電池システム「Bloomエナジーサーバー」。都市ガスや天然ガスを燃料に発電する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を利用しているのが特徴のシステムだ。


 今回はポーライトの「熊谷第二工場」の敷地内に設置した(図1)。合計出力250kw(キロワット)、定格発電効率は60%以上、大きさは10.1×1.3×2.1m(メートル)、重量は16.3t(トン)である。

図1 設置した「Bloomエナジーサーバー」
図1 設置した「Bloomエナジーサーバー」

 燃料電池システムの燃料には、都市ガスを利用するのが一般的だ。しかし、今回の熊谷第二工場は、都市ガスの供給エリア外に位置しているため、利用が難しい。そこで、岩谷産業が敷地内にLNGを貯蔵しておけるLNGサテライトを新設した。使用する天然ガスの量は、年間35万Nm3を見込んでおり、月に2回程度のペースで岩谷産業がサテライトにLNGを供給するという(図2)。

図2 設置したLNGサテライト
図2 設置したLNGサテライト

 LNGとSOFCで発電した電力は、24時間365日、熊谷第二工場内にある主要な設備の稼働に利用される。Bloomエナジーサーバーのみで、熊谷第二工場で利用する電力の60%まかなう見込みだ。残りの40%は系統から調達する。Bloomエナジーサーバーをベース電源として利用し、電力需要の増減に合わせて必要な量を系統から調達する仕組みだ。LNGサテライトを所有しているため、災害などの際には非常用電源としても活用できる。

 Bloom Energy Japanによれば、工場敷地内にLNGサテライトを設置し、天然ガスとSOFCで発電する事例は、日本初。また、同社は国内で合計4件のBloomエナジーサーバーの導入事例があるが、製造業への導入および都市ガスの供給エリア外への設置は今回が初の案件になる。


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