「業界初」感震機能を内蔵するブレーカー、地震火災の対策に:日東工業 感震機能付ブレーカー
地震時の二次火災の防止に役立つとして、政府が普及を推進している感震ブレーカー。日東工業は地震を感知する感震リレーを内蔵したブレーカーを2017年8月から発売する。「業界初」(同社)という感震リレーとブレーカーを一体化した製品とすることで、他社や産業用の分電盤にも取り付けやすくした。
政府の調査によると東日本大震災で発生した火災の66%は「電気関係の出火」が原因だ。その多くは地震が発生した後、送電が復旧した際に消し忘れたストーブなどが自動的に作動することで起きる二次火災とみられている。
こうした火災を防ぐには、ブレーカーの電源を落とすのが有効だ。近い将来、日本では高確率で大規模地震が発生すると予測されており、政府は地震火災の防止に向け、揺れを検知した際に自動的にブレーカーを落とす「感震ブレーカー」の普及を推進している。設置に補助金を支給する自治体も増えている。
日東工業はこうしたニーズに向けて、感震リレーとブレーカーが一体化した「感震機能付ブレーカー」を開発した。感震リレーと分電盤がセットになったブレーカーは、業界初の製品だという。
感震機能付ブレーカーは、家庭用分電盤と産業用分電盤の双方に対応する。感震リレーとブレーカーが一体となっているため、一般的な家庭用分電盤と同じレイアウト、分岐回路数で感震機能を追加することができる。増設用タイプも展開する予定で、こちらは既設分電盤の一次側(電線からの入力側)に取付けられる。そのため、家庭用分電盤と産業用分電盤を含め、さまざまなメーカーの分電盤に対応できるようにした。
震度5強相当以上の地震波感知するとブレーカーを自動遮断する。自動遮断までの時間は3分、1分、即時から選択できる。地震波感知から自動遮断までの間に停電が発生した場合は、復電時にブレーカーを自動遮断する。停電後8秒以内に地震波を感知した場合にも復電時に自動遮断を行う仕組みだ。
日東工業は2017年8月から販売を開始する計画だ。価格は新設用が4万2000円から、増設用は3万1000円から。年間1万台の販売を目指すとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 積み木のようなIoTゲートウェイ、Wi-SUN対応でHEMSの中核に
台湾のベンチャー、NextDriveが電気プラグ型の小型IoTゲートウェイを販売開始する。ロームのWi-SUNモジュールを搭載し、家庭内での需要増の見込まれるWi-SUNを利用したHEMSに中核を担う。 - IoTやAIを活用した食品小売業向けの冷蔵/冷凍設備運用サービス
パナソニック産機システムズは、食品小売企業の効率的な店舗開発やエネルギーマネジメント、保全業務を支援する「食品小売業向け冷蔵/冷凍設備運用サービス“エスクーボシーズ”」を2017年4月1日に提供開始すると発表した。 - ディスアグリゲーション技術を電力事業者向けに――電力情報を活用した生活サービス開発を支援
ユビキタスは、住宅の総消費電力量データから各電気機器の利用状況を把握する「ディスアグリゲーション技術」を使用したサービス「Navi-Ene Biz ディスアグリゲーション」の提供を2017年4月1日から開始する。 - 世界初CO2を100%回収できる火力発電、米国で2017年に実証運転
米国テキサス州で建設中の「超臨界CO2サイクル火力発電システム」の実証運転が2017年に始まる。東芝と米国の3社が共同で開発を進めているシステムで、発電時に排出するCO2を循環させて高効率に発電できる世界初の技術を実装する。東芝は中核の発電機の製造を完了して米国に出荷した。 - キヤノンら3社、「電気+熱」で複数工場をまとめて省エネ
栃木県宇都宮市に東京ガスエンジニアリングソリューションズが「清原工業団地エネルギーセンター(仮称)」を建設する。ガスコージェネと蒸気ボイラーで、都市ガスから作った電力と熱を、カルビー、キヤノン、久光製薬の工場にEMSで最適に供給して省エネを図る。内陸型工業団地で異業種かつ複数事業所向けに電力と熱を合わせて供給するのは国内初の事例になるという。