キヤノンら3社、「電気+熱」で複数工場をまとめて省エネ:清原工業団地エネルギーセンター(仮称)
栃木県宇都宮市に東京ガスエンジニアリングソリューションズが「清原工業団地エネルギーセンター(仮称)」を建設する。ガスコージェネと蒸気ボイラーで、都市ガスから作った電力と熱を、カルビー、キヤノン、久光製薬の工場にEMSで最適に供給して省エネを図る。内陸型工業団地で異業種かつ複数事業所向けに電力と熱を合わせて供給するのは国内初の事例になるという。
カルビー、キヤノン、久光製薬の3社と東京ガス子会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は、栃木県宇都宮市にある「清原工業団地」内の既存事業所について、省エネ・CO2削減およびBCP(事業継続計画)の強化を目的としたエネルギー供給契約を締結した。
TGESは2016年10月から、宇都宮市に「清原工業団地エネルギーセンター(仮称)」と電力自営線などのエネルギー供給インフラの建設に着手する。同センターは出力3万kW(キロワット)級のガスコージェネレーションシステムと、蒸気ボイラーを備えている。都市ガスから電力と蒸気や温水を作り、これらをカルビー、キヤノン、久光製薬3社の事業所へ供給する(図1)。
事業所ごとに、時間や時期によってエネルギー需要の状況は異なる。同センターではこうした情報をエネルギーマネジメントシステム(EMS)に集約し、電力と蒸気や温水を効率的に供給することで、約20%の省エネとCO2排出量を約20%削減する効果を見込んでいる。事業所単独の取り組みでは実現できない規模の環境負荷の低減を可能にする。東京ガスによれば、内陸型工業団地において、異業種の複数事業所向けに電力と熱を供給する取り組みは、国内初の事例になるとしている。
清原工業団地エネルギーセンターは、2019年1月に完成する予定だ(図2)。工場の省エネルギー化を支援する経済産業省の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」を活用している。同センターの建設は、国の温室効果ガス排出削減目標などを踏まえて策定された栃木県の「とちぎエネルギー戦略」、宇都宮市の「宇都宮市地球温暖化対策実行計画」などに合致しており、モデル事業としての期待も掛かる。
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