服薬支援ロボを活用した「服薬支援クラウドサービス」:日立システムズ/クラリオン
日立システムズは、クラリオンとともに茨城県笠間市に導入していた「服薬支援クラウドサービス」と、同市が運用する「介護健診ネットワーク」との連携に関する実証実験の結果を発表した。
日立システムズは2016年6月、同年4月からクラリオンとともに茨城県笠間市に導入していた「服薬支援クラウドサービス」と、同市が運用する「介護健診ネットワーク」との連携に関する実証実験を行い、その結果を発表した。
居宅療養や居宅介護では、転倒事故発見の遅れや薬の飲み忘れ、誤飲による重症化が課題となっている。高齢者の生活を地域全体で支援する地域包括ケアの重要性の高まりとともに、これらの課題を、高齢者の見守りや適切な服薬支援などで改善する仕組み作りが求められているという。
笠間市は、2014年10月からクラウド型の「介護健診ネットワーク」を運用している。これは、要介護者の緊急連絡先や要介護認定状況、健康診断結果、ケアプラン、お薬手帳、さらには現在の病状といった情報をセキュリティ性の高いクラウド上に集約し、笠間市や要介護者の家族、地域の介護・医療関係者が、PCやタブレット端末などからインターネット経由でリアルタイムに共有・閲覧できるシステムだ。
一方、日立システムズは、クラリオンが開発した服薬支援装置「服薬支援ロボ」を活用した「服薬支援クラウドサービス」を2015年10月から販売。同サービスは、服薬支援ロボによる服薬支援機能と、服薬履歴や残薬情報を遠隔地からも参照できる仕組みを提供し、関係者の業務効率化を支援するものだ。
そして今回、同社は笠間市で服薬支援クラウドサービスの試験導入を実施した。笠間市内の居宅療養患者3人に服薬支援ロボを提供し、介護健診ネットワークとの連携により、笠間市のスタッフや薬剤師、患者の家族、介護・医療関係者が、要介護者の服薬履歴や残薬の情報を参照できるようにした。
その結果、居宅療養患者に対して適切な服薬管理ができた他、介護健診ネットワークとの連携により、地域包括ケアシステムの関係者とのスムーズな情報共有を図ることができた。例えば、薬剤師が、要介護者が予定通り服薬したかを確認できたり、服薬支援ロボの人感センサー履歴を確認することで、居宅療養では把握しにくい患者の活動量など、患者一人一人の正確な状態を把握できるようになるなど、これまで以上に連携したケアが可能であることが実証された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 遠隔診療関連サービス市場は、遠隔での健康相談/保険診療が市場をけん引
シード・プランニングは、日本における遠隔診療サービスの市場規模予測を発表した。 - 「介護ロボット」は単なるコンセプトモデルではなく「実用品」の時代に
矢野経済研究所は、国内介護ロボット市場に関する調査結果を基に、2020年までの市場規模推移と予測を発表した。 - 新JIS規格認証を取得した自動搬送ロボ、検体や薬剤の回収/搬送を支援
パナソニックは同社の自動搬送ロボット「HOSPi」が、生活支援ロボットの安全性に関する新たなJIS規格の認証を取得したと発表した。 - 人工知能をヘルスケア業界で活用――治療効果の改善や医療コストの削減に効果
フロスト&サリバンの調査「ヘルスケア業界における人工知能(AI)活用の展望」によると、ヘルスケア業界向け人工知能システムの世界市場は、2015年から2021年にかけて年平均成長率42%で成長するという。