宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(126):
相次ぐ不正アクセス、「ウチは大丈夫か?」と叫ぶ前に疑うべきこと(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もはや無関心ではいられない情報セキュリティ対策。今回は、相次ぐサイバー攻撃や各種機関の注意喚起を踏まえ、組織が今すぐ確認すべき対策やログ活用のポイントについて解説します。
本連載は1カ月に1回、製造業読者の皆さんにセキュリティをテーマにしたコラムをお届けしていますが、2026年に入ってからというもの、セキュリティ関連トピックの動きや進化が非常に速くなったという印象を抱いています。
生成AI(人工知能)の進化は日進月歩であり、朝起きるとパラダイムシフトが起きていると実感するほどです。その波がセキュリティの世界にも押し寄せてきたかと思っていたところ、2026年10月に入ってからは国内組織におけるインシデント発生数が急増し、さすがにこれはまずいのではないか……という危険水域にまで達したと言わざるを得ません。
2026年10月7日には、ソフトバンクグループの「IDCFクラウド」が侵害を受け、サービス基盤そのものがランサムウェア攻撃の被害に遭う事件が発生しました。特定のデータセンターを利用する全ての顧客が影響を受け、一部はバックアップからの復元ができたとの吉報がありました。そしてこの発表とほぼ時を同じくして、多くの組織が不正アクセスや情報漏えいのインシデントを公表しています。
【第5報】不正アクセスによる障害に関する調査の進捗について|ニュース|IDCフロンティア
これはもはや人ごとではありません。インターネットにつながる全ての組織は、いま一度自社の状況を確認し、対策を講じる必要があります。
頻発するインシデントを受け、各種組織が「注意喚起」
こうした事態を踏まえ、政府機関も相次いで警戒を呼び掛けています。総務省は「不正アクセスによる情報漏えい等の事案を踏まえた対応について」と題し、内閣官房国家サイバー統括室による注意喚起の確認を促す通達を出しました。
内閣官房国家サイバー統括室による文書では、インターネットに公開されているWebサーバなどのシステムに対する「脆弱(ぜいじゃく)性の適切な管理」について、リスクを的確に判断して計画的かつ迅速に対応するよう求めています。さらに、「アカウント管理/認証」の観点から多要素認証の導入やパスワードの強化を指摘しつつ、「レジリエンスの向上」として、不審な行動の早期発見や速やかな対処ができるよう、インシデント発生時の対応態勢を整備することの重要性を説いています。
これらはどれも平時から確実に押さえておくべき基本といえます。いや、もはや「望ましい」というレベルではなく、ほぼ有事といえる現在のインターネット上では“エチケット”とも呼べるものであり、これをやってこそようやくスタート地点に立てる内容だといえるでしょう。サプライチェーンに関する対策やデータ管理の勘所にも触れた簡潔な文書となっていますので、ぜひ目を通してみてください。
一歩踏み込んだ資料を公開
今回、特に注目していただきたいのが、JPCERTコーディネーションセンターが公開した「直近で相次いでいる国内組織における不正アクセスに関する注意喚起」です。
この資料では、相次ぐ不正アクセスの手口として、「さまざまなソフトウェアの既知の脆弱性を探索し攻撃試行するもの」「API経由での不正な操作」「MetabaseのSQLインジェクションの脆弱性(CVE-2026-72898)」「公開Webサーバからアクセス可能なアプリケーションサーバ上へのWebシェル設置」などを挙げ、詳しく解説しています。要点としては、脆弱性を解消するアップデートの適用や、アカウント権限の整理による最小権限の徹底、公開APIにおけるリクエストの精査など、“セキュリティの基本をいま一度見直そう”と促す内容にまとめられています。
同資料で興味深いのは、各ケースにおいて同センターが確認した攻撃元のIPアドレスおよびUser-Agentが明記されている点です。これは実務において非常に有益な情報といえます。組織が記録しているログと照合し、該当するIPアドレスやUser-Agentを検索すれば、不審なアクセス元の有無を検知でき、攻撃の予兆をつかむ重要な手掛かりになるわけです。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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