宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(111)
アップデートは怖いもの!? その不安と向き合うために必要な考え方(2/2 ページ)
アップデートはすぐに当てなくてもいいが、いつか絶対に当てるべし
原則的には、「アップデートは公開後、速やかに適用すべし」です。ただし、これはあくまでも原則であり、言い方は悪いですが“きれいごと”ともいえます。今も昔も、アップデートの品質が問題になることは多く、セキュリティに多額の投資をしているマイクロソフトですら、定期的にアップデートの不具合が報じられるほどです。
そのため、新しいアップデートが公開されても、しばらくは様子を見ることが重要かもしれません。場合によっては、1~2週間ほど様子を見る、あるいはメジャーバージョンアップの次に出るマイナーバージョンアップまで待つという判断も一つの戦略といえるでしょう。
ただ、例外があります。それは、まれに報道される「緊急」のアップデートです。こうしたアップデートについては、兎にも角にも速やかに適用しなければならないと考えるべきでしょう。「緊急」の定義はさまざまですが、特に「既に攻撃コードが広まっている」、つまり攻撃に使われ始めている脆弱性を修正するアップデートについては、もはや待っているわけにはいきません。適用しないリスクの方がはるかに上回る場合だけは、例外であると考えてください。
テスト環境と呼べる端末があるのなら、そこで事前に対応しておくことが可能です。その際には、パッチを適用した後に元の環境へ戻す方法があるかどうかを、あらかじめチェックしておくことを強くお勧めします。
これはつまり、バックアップが取られていること、そしてそれを戻すための手順書が最新であることを確認する、という意味です。逆にいえば、「元に戻せる自信」があるのなら、「アップデートなど恐るるに足らず」と考えることができるはずです。これが、最も賢い戦略なのかもしれませんね。
アップデートの不安は、「適切に怖がる」ことで対応せよ
アップデートは、トラブルに関する報道ばかりが目立つため、いつしか「怖いもの」という印象が強くなってしまいました。とはいえ、実際に慎重になるべきなのは、主に「組織」のシステムであって、ミッションクリティカルではない個人のPCやスマートフォンであれば、多少軽率なくらいの勢いでアップデートしても構わないはずです。
組織のシステムに関しては、なぜ「怖い」と感じるのか、その背景を理解することが大切です。一体、何が怖いのかを掘り下げてみましょう。例えば、アップデートしても元に戻せる手段や代替策があるのなら、「ちょっと怖い」程度で済むはずです。そのためには、システムを熟知した人材を確保する、つまり、なじみのベンダーに相談できる環境があることが最もよいのではないでしょうか。
製造業は日本で最もメジャーな、仲間の多い業種といえます。セキュリティに関していえば、競合ではなく、同じ課題に取り組む「同志」であるはずです。そして、そうした企業を支えるベンダーやインテグレーターとともに、セキュリティの基本であるアップデートに取り組んでいけるはずです。ここでも、「適切に怖がる」ことが重要です。そこに至るためにも、引き続き本コラムをよろしくお願いいたします。
著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さんに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー