宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(100)
あなただけにサイバーセキュリティの“真実”をお伝えします(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、誰もが理解しているつもりでも、本当は何も知らないかもしれない、「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる」という事実に向き合う。
今回は、サイバーセキュリティに関する“真実”をお伝えしたいと思います。皆さんも、この話の本質は何となく理解できているつもりでも、本当は何も知らないのかもしれません。その真実とは――「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる」という事実です。
「いやいや、ちょっと待て!」と読みながら思った人がほとんどかもしれません。きっと、「そんなことはもう分かっている! お前は何を言っているんだ?」と多くの方が感じたことでしょう。
でも、ちょっと待ってください。実は、そのものズバリな「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる」というタイトルのレポートがつい最近(2024年7月)公開されたのをご存じでしょうか。このレポートを公開したのは、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)で、名の通った組織からのもの。資料の1ページ目から、まさにその1点のみを大きく伝えています(図1)。
皆さんは、この資料の概要を読んでどう思ったでしょうか? 筆者はこの資料こそ、今の日本に必要なことを伝える、大変重要なものであると感じました。本資料では、「まだまだサイバー攻撃を受けることはない」「万一、サイバー攻撃を受けたとしても被害は何とかなる」と思っている経営者が多いことを示しており、言葉としては分かっているはずの「お金がかかる」という認識がまだ甘いことを気付かせてくれます。
サイバー攻撃を受けるとお金がかかる――あなたの想像以上に
JNSAは大変良い仕事をしていると思います。これまでもJNSAは「インシデント損害額調査レポート」を公開しており、日本で発生しているサイバー脅威およびその対策の必要性について述べ、経営者がこれを経営課題として捉えるための指針として使えるものとなっています。その中でも、インシデント発生時の具体的な対応、アウトソーシング先、実際に生じるコスト(損害額や損失額)が述べられています。非常に有用な資料ですので、こちらもぜひ目を通していただければと思います。
今回、JNSAの調査研究部会インシデント被害調査ワーキンググループからあらためて公開されたレポート「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる ~インシデント損害額調査レポートから考えるサイバー攻撃の被害額~」は、その中でも経営者が興味を持たねばならない“被害額”に着目し、これ以上ないストレートなタイトルで、あなた(経営者)に読んでもらえるよう工夫した資料です。筆者もこのタイトルを目にしたとき、「当たり前のことを今さら?」と思いつつも、そこまでしないとこの現状はひっくり返らないのだろうと瞬間的に理解しました。
かつて、サイバーセキュリティ事件といえば、海外での事例が多かったと思います。2010年に行われた世界初の制御システムを標的としたマルウェア「Stuxnet」や、各種標的型攻撃やランサムウェアによる被害は海の向こうの話であり、日本では言語の壁もあり「被害は限定的」と考えられる時代がありました。
しかし、今やセキュリティベンダーがセミナーや製品説明の冒頭で語る、各種インシデントは日本国内の事例が中心になっています。例えば、医療系では徳島県のつるぎ町立半田病院の事案(2021年)や大阪急性期・総合医療センターのランサムウェア/サプライチェーン攻撃の被害(2022年)、重要インフラでは名古屋港のコンテナターミナルシステムの事案(2023年)が挙げられます。製造業においても、トヨタ自動車の仕入先である小島プレスが不正なアクセスを受け、生産が止まった事案(2022年)がありました。そして、記憶に新しい、KADOKAWAのランサムウェア事案(2024年)では、サービスが2カ月近く停止し、2025年3月期第1四半期連結累計期間で営業売上26億円、営業利益19億円の減少影響が発生。特別損失20億円を計上したことが大きく報じられました。
もはや、「サイバーセキュリティが経営に影響を与える」ということに、異を唱える経営者はいないでしょう。何か事故が起きれば、これまで日本でも大きく報道されてきたように、多大な影響を受けることも理解しているはずです。しかし、それでも、おそらく多くの経営者の皆さんは、「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる」という真実がまだ腹オチしていないのではないでしょうか?
今回、このタイミングで「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる」というごくごく当たり前のことをタイトルにしたレポートが公開されたことは、現状、多くの経営者がいまだその事実から目をそむけていることの表れでもあるように思います。その意味で、そういった経営者に向けて“どストレート”なタイトルの資料を公開したJNSAの勇気に、心から賛辞をおくりたいと思います。よくぞ言ってくれました。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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