宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(97)
今すぐできて、それなりに有効なセキュリティ対策を考えてみる(2/2 ページ)
今すぐできて有効な手法、それは「興味を持つこと」
かつて、サイバーセキュリティ対策は、ある程度の機能を持つ製品を購入することで一気に効果を高めることができました。例えば、ウイルス対策ソフト、次世代ファイアウォールやUTM(Unified Threat Management)といわれるようなものです。しかし、今ではセキュリティベンダーですらも「われわれの製品を入れただけでは、安全は保てない」と明言しています。そのコメントの背景として、ピンポイントなソリューションだけでは組織全体をカバーできないこと、もしソリューションが組織全体をカバーしていたとしても、そこには「人」による適切な運用が不可欠であることなどが考えられます。
筆者自身、「人」の考え方をアップデートすることが、今すぐできて有効な手法だと信じています。セキュリティ担当者だけでなく、このコラムをご覧の“普通の人”こそが、セキュリティ対策の主役だと考えます。
昨今のサイバー攻撃の主流は、まさに「人」そのものを狙っています。特に、個人に向けては、偽広告を起点とした「サポート詐欺」が行われており、日々その被害が報道されています。とうとう筆者の知人からも「母親が被害に遭った」という話が出てきました。
加えて、サポート詐欺は個人だけでなく、組織の中にいる従業員も被害に遭っており、報道が少しずつ出てくるようになりました。もはや、セキュリティ対策の観点では、個人も組織も同時に対策を進める必要があります。
そのためには、まず「個人」レベルでの意識を少しずつ変えなければなりません。まず、セキュリティに興味を持ってもらうことです。先に紹介した資料は、平易な言葉で記述されており、入門書として最適です。ぜひ、これらを入口とし、少しでも興味を持っていただければと思います。
それでもまだ興味が持てないという方は、自分の「お金」が狙われていると考えてみれば、面倒なセキュリティも自分ごとになってくるのではないでしょうか。サポート詐欺は、言葉巧みにマルウェアをインストールさせ、PC内に含まれるオンラインバンキングや仮想通貨ウォレット情報など、お金になるID/パスワードを奪っていきます。そんなことは許せませんよね。だからこそ、学ばねばならないのです。
そして、自分のお金が狙われていると同時に、家族も狙われていると考えてください。自分は大丈夫でも、家族が狙われていたとしたら、何とか対策を打たねばならないと感じていただけるのではないでしょうか。
自分のこと、家族のことを思いやることができたら、今度はやっと「組織」に目が向くはずです。組織の強みは一人ではないことです。「何かおかしいかも?」と思ったら、周りの方に一声相談してみて、「このメール何かおかしくない?」「何となく普段と違う」といった違和感を、組織全体が共有できれば、攻撃への対策になるはずです。
繰り返しになりますが、まずは個人として、セキュリティに興味を持つことが第一歩となるはずです。特に中小規模の組織の経営者は、その第一歩を安心して進んでもらえるよう、時間や補助面での支えを考えていただければうれしいです。これは、どんなに高いセキュリティソリューションでもできないことなのですから。
著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さんに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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