宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(67)
“ローカル5G”に学ぶ、「新しいなにかのセキュリティ」の考え方(2/2 ページ)
5Gのセキュリティ対策、恐るるに足らず!?
とはいえ、5Gのセキュリティ対策として何を考えればよいのか、見えないという方が多いと思います。そこで、もう一度上記の攻撃を見てみましょう。今回の実証実験では、高度なスキルを持つ攻撃者がコアネットワーク内部に入り込むことを前提とし、その後攻撃者がモニタリング値を改ざんすることで工場全体に影響を与える、というシナリオが想定されています。侵入を許してしまえば、センサーが出してきた数値をハイジャックすることで、本来発生するべきアラートを無効化することもできます。温度センサーの数値でこのようなことをされれば、工場で作られる製品の品質を意図的に落とすことができてしまうので、これは大きな問題となるでしょう。
そもそもの侵入経路は、下記のポイントが懸念されています。これをよく見ると、「仮想化技術が多用されている」「脆弱性が悪用される」「新たな脆弱性が発見される可能性がある」「設定ミス」などが挙げられています。
これを見ると「おやっ?」と思うかもしれません。ここまでブレイクダウンされると、実はこれはローカル5Gといった新しい技術の話ではなく、より身近な、いままで私たちよく聞くような原因の話になってきます。これらはITセキュリティの基礎ともいえる「アップデートをしっかり適用し既知の脆弱性をなくす」「設定ミスがないようにする」といった対応をすればよいのではないか、と考えられるでしょう。
さらに、モニタリング値の改ざんに関しても同様です。IoTシステムのセキュリティを高めるためには、IoTデバイスがサーバ/クラウドにその値を送信する際に、なりすましや改ざんを防ぐために「暗号化が必要」という話を聞いたことがあるでしょう。これもセキュリティ対策の基本といえるものです。それが、ローカル5Gの実装においても必要だということが繰り返し述べられているだけと考えられるのではないでしょうか。
つまり、新しい仕組みが登場したとしても、そのほとんどのセキュリティ対策は「これまでと同じ」なのです。
早め、早めのセキュリティ対策を!
実はこの記者発表を聞いた後、トレンドマイクロの広報の方とも少しお話しをしまして、発表内容に“5G的”な、新しい考え方の攻撃がないことに関して、発表側も気にしていたとのことでした。しかし登壇されたセキュリティエバンジェリストの石原陽平氏はそういったトーンの内容ではなく、淡々とセキュリティのキホンに近い話をしており、個人的には信頼できる内容だと感じました。
特にコアネットワーク内部ではよりネットワークの低レイヤーにおける攻撃が行われるはずで、その点においてはなかなか可視化が難しい部分ではないかとも考えています。そういう場所こそ、標的型攻撃の備えを、構築前に検討しなければならないと思っています。攻撃者はまさに、その心理的な穴となり得るであろう場所を狙うわけですから。
ローカル5Gの実装はおそらくこれから本格化するでしょう。新技術が盛り上がるタイミングでは、セキュリティの話まで行われないことがほとんどです。他者との差別化要因として「安全」が無視できないいまこそ、セキュリティ対策を早めに考えておきましょう。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
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著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さんに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
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