宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(59)
巧妙な“標的型攻撃メール”を見分ける前にできること(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は「標的型攻撃メール」についてお話しします。
医学書院「医学界新聞」に寄稿された記事に注目が集まっています。「医療機関とサイバー攻撃」と題する美代賢吾氏の寄稿文には、地域の医療機関で働く医師の元に届いたというメールの文面が記載されています。ぜひこれは実際に見ていただきたいのですが、「●●先生、突然のメールをお送りしましてまことに申し訳ございません」から始まる医学部生の質問が、暗号化された添付ファイル、そしてパスワードとともに送られています。実はこれこそが、「標的型攻撃メール」そのものでした。
もはや文面から見分けることはできず、標的型攻撃なので一般的なウイルス対策ソフトでは検知ができません。日本語におかしな点も見当たらないため気を付けることも難しく、メールアドレスが大学のものではない、という程度しか手掛かりはありません。
問題は、このようなレベルの標的型攻撃ならば、もはや大企業や重要インフラだけでなく、あなたの企業も十分対象になりつつあるという事実です。
引き続き注意したい「Emotet」
いまこのような、なんとしてでも受信者をだまし添付ファイルを開かせたいメールの目的といえば、何らかの方法で端末をマルウェアに感染させ、バックドアと呼ばれる外部への通信経路を確保した後、情報を盗む、遠隔操作をする、ランサムウェアに感染させるなど、あとは“煮るなり、焼くなり”できるように端末を仕上げることです。その代表例といえば、ここ1年ほど日本の企業を悩ませているEmotetでしょう。
そのEmotetには動きがありました。欧米各国の共同作戦により、2021年1月にEmotet感染端末が通信する相手であるC&Cサーバを差し押さえ、いわゆる「テイクダウン」状態に持っていくことができました。このオペレーションは大きな成果を挙げ、運用していた一部のメンバーを逮捕し、Emotet感染端末は現在安全なサーバとのみ通信を行うようになっているだけでなく、2021年4月25日には自身をアンインストールするプログラムを実行するよう仕掛けられました。マルウェア自身がマルウェアをクリーンにするというのは面白いことですが、裏を返せばそういうことまでも遠隔で操作できてしまうとも言えるでしょう。
これでEmotetは無力化されました。一つ悩みが減った……といいたいところですが、Emotetタイプのマルウェアは今後もたくさんやってきますし、そもそもEmotetが開けた穴に、Emotetではない別のマルウェアが既に侵入している可能性が高いです。そのため私たちは引き続き、マルウェア感染の対策と、新情報、そして社内の感染状況を常にウオッチを怠らない体制が必要です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
降圧レギュレーターのVOUTリップル測定時における高周波ノイズ
-
3
スキマ時間に学ぶ! 日本経済のいま(第33回~34回)
-
4
工場内のメーター読み取り負担を軽減、AIカメラによる巡回点検自動化の実践術
-
5
DMG森精機の欧州深耕
-
6
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
7
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
8
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
-
9
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
10
動き出したファナックの「フィジカルAI」
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー