宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(49)
今だからもう一度考える「メール」の話(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は、新型コロナの影響で増えているテレワークで、気を付けなくてはいけない「メールセキュリティ」についてお話しします。
日本にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響が広がり続けています。39県やその後の近畿3府県での緊急事態宣言は解除されたものの、本拠地が首都圏や関西圏にある企業では引き続き困難な状況が続いているものと思います。
ITの世界においてもデータセンターなど物理的な対処が必要な部分に関しては出社手当で対応しているところも増えました。製造業においては、“テレワーク”で問題が解決しない場合も多いでしょう。とはいえ、テレワークを諦め無視してしまうと、今度は生命の危機が訪れるかもしれません。どの業種であってもうまくテレワークと付き合っていくしかないというのが、私の考え方です。
そのような状況ですと、やはりセキュリティ的に考えるべきことが増えてしまうのは仕方ありません。私が最も注目しているのが「メールセキュリティ」です。
「メールなんて既に対応済みですが、なにか?」という方こそ再注目を
おそらく、多くの企業にとってメールセキュリティというと、10年以上前から対応済みだ、という方がほとんどだと思います。インターネットとの付き合いはメールから。いくらITと疎遠にしている組織であっても、メールアドレスが名刺にないということはないと思います。
メールセキュリティといえば、古くはスパムメールを排除するための仕組みであったり、誤送信対策であったりとさまざまなソリューションが登場しています。現在ではおそらく「マルウェア対策」が最も重要なものになっているでしょう。ランサムウェアも標的型サイバー攻撃も、きっかけはこの「メール」であることがほとんどです。集計を行うセキュリティベンダーによって数値のばらつきはあるものの、組織が受けるサイバー攻撃の9割以上がメールを起点とした脅威であるとされています。
メールの脅威といえば、2019年末に猛威をふるった「EMOTET」が思い浮かぶかもしれません。EMOTETは実在する組織のアドレスになりすまし、マルウェアが添付されたメールを多くの組織に送ることで拡散を続けてきました。
その文面はある程度しっかりとした日本語で送られてくるだけでなく、会社の賞与に関する件名が年末に送られてくることや、正月休みはマルウェアの活動も沈静化するなど、完全に日本をターゲットにしています。その上、現在でも検出は拡大傾向にあり、最新の攻撃では今回の新型コロナウイルス感染症に便乗するものも確認されています。
さらに問題は、メールを使ったサイバー攻撃とひと言でいっても「問題のあるメールをはじけばいい」とはいかないことです。例えばマルウェアが添付されたものを、文面を元にパターンマッチングを行い、問題のあるメールは迷惑メールフォルダに移動するとした場合、ほんの少しでも文面や件名が異なれば検知できないことになります。実際、EMOTETをはじめとするメールを悪用したマルウェア拡散においては、メールの文面を工夫し、迷惑メール判定ロジックの裏をかいてきているのは、皆さんの受信フォルダを見ても分かるでしょう。
では、その文面判定が完璧にできたとします。次に攻撃者は「添付ファイルを工夫する」「URLをクリックさせる」ことに注力するでしょう。攻撃者のゴールは、マルウェアを実行させることです。迷惑メール判定ロジックをくぐり抜け、なんとか添付ファイルを受信フォルダにいれたら、それを思わずクリックしてしまいそうな内容に工夫するわけです(賞与といわれたらクリックしますよね!)。でも、それは添付ファイルである必要はありません。それっぽいURLを巧妙に見せれば、クリックしてしまうからです。するとマルウェアがダウンロードされ、それを開くと……攻撃者の勝ちですね。この場合、メールセキュリティとはいえ、「問題のあるURLを開かせないソリューション」や、「マルウェアを判定するソリューション」が連動する必要があるのです。
メールセキュリティ製品は10数年前から利用しているという組織は、これらの新しい攻撃に対してもカバーできるソリューションを使っているのか、もう1度確認する必要があります。
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