宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(42)
「IoT機器は生活のデータが取れる!」と思ったときに考えるべきこと(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は、IoT機器を開発・企画するエンジニアに、利用者の目線で「プライバシー」を考えた製品を作ってください、というお願いです。
IoT機器を開発・企画するエンジニアへのお願いです。利用者の目線で「プライバシー」を考えた製品を作ってください。最近では日本国内でもプライバシーを意識せざるをえなくなるような事件が起き、今後は利用者も非常に厳しい目が、IoT機器に向けられるはずです。IoT機器はサイバー攻撃の対象になる可能性があるデバイスであることに加え、これまで以上に「利用者の情報が取得できる」スマートなデバイスです。しかし、そこにセキュリティの考え方や、倫理といった考え方がなければ、手痛いしっぺ返しを食らうことになりかねません。
一時期、日本においてもEUで制定された一般データ保護規則「GDPR」が話題になりました。施行直前には多数の解説記事も公開されていましたが、今ではすっかり鳴りを潜めているように見えます。ですがこの制度の重要性は“プライバシーへの対応”という意味ではより高まっている状況といえます。EUのこの制度だけでなく、APEC領域内から個人情報を越境させる際に必要な、「CBPR認証」、そして中国においても、「中国サイバーセキュリティ法」の中で、プライバシーに関しても定められています。
大変専門的な内容であることから、それら個別の細かな規定に関してはここでは触れません。その前段階として、今回はIoT機器を開発・企画する方に向け、プライバシーに関して陥りやすいポイントと対処方法を考えてみたいと思います。
「個人情報保護って、名前や住所が分からなければいいんでしょ?」は間違い!
まず、“個人情報”に関して考えてみましょう。よくある勘違いは、名前、住所、電話番号、メールアドレスだけが個人情報と考えることです。
厳密には、「個人情報の保護に関する法律」で個人情報を下記のように定義しています。
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
ここで重要なのは、生年月日や名前を始めとする個人識別符号だけでなく、特定の個人を識別することができるものを含め、個人情報としていることです。非常にざっくりとした言い方になってしまいますが、ほとんどの人は生年月日や名前、住所だけを個人情報として捉えているがために、それらをマスクしたり仮名化、符号化するだけで個人情報保護が行えると考えているのではないでしょうか。実際はそれら以外にも、「特定の個人を識別することができるもの」を含めたものが、個人情報として厳重に管理すべきものです。EUのGDPRにおいても、関連する「eプライバシー規則」において、Webブラウザーが取り扱うクッキー情報も、個人情報保護の対象となることが話題になっています。
一見、個人情報ではないように思えるものが、実は個人情報として取り扱うべきであるという指針や判例はまだ少なかったり、専門家でないと判断が難しかったりするでしょう。開発者、エンジニアの立場では、まず個人が生み出すさまざまな情報が個人に紐づくかぎり「個人情報」であり、「個人が生み出すデータ」であると考え、その持ち主は「利用者本人」であることだけは認識しておきましょう。他人のデータを勝手にいじることはしてはならず、慎重になるべきであるーーIoT開発に携わるメンバーがそれを押さえられれば、プライバシーに関するリスクもかなり下げられるはずです。
この点に関しては、まずは「ニッポンの個人情報」(翔泳社)を手に取ることをお勧めします。2015年の本ではありますが非常に分かりやすく、個人情報に関する誤解を解くことができると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー