製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力(3)
使って分かった「Fusion 360」を製造現場で活用すべき理由【CAD編】(2/2 ページ)
中間ファイルの修正
これはFusion 360を使って、取引先から支給されたモデルデータをその工程に必要なだけの要素に修正する例です。一般的に、外部から渡されるモデルデータはネイティブファイルではなく、互換性のある中間ファイルです。パラメトリックモデリングでは、それを中間ファイルにした時点で原則的に履歴や拘束は消えてなくなりますから、履歴からの形状修正はできません。
こういう場合、Fusion 360では履歴の消えたモデルデータを「プッシュプルコマンド」1つでダイレクトに編集できます。
こちらの例は、加工上不要な穴の削除です。削除したい穴を選択して「削除コマンド」を実行するだけで編集は終わりです。
また、「フィーチャを検索」を実行することで処理履歴(フィーチャ)を認識させて、そこからモデルの一部を編集することも可能です。この方法では必ずしも認識された全てのフィーチャを編集できるわけではありませんが、こちらのモデルの中心穴は編集可能でしたので、一例として紹介します。
「フィーチャを検索」を実行すると、ブラウザのツリーにフィーチャが表示されます。
編集したい穴を選択して「穴を編集」を実行します。
ここでは、穴径や深さ以外の要素も編集できるので、例えば、工程別に複数のモデルを作ることも可能です。こういう編集作業は気づいたときに速やかに片付けたいものですから、現場にFusion 360があれば、従来は設計部門に依頼していたモデルデータの編集も現場でタイムリーにできるわけです。
複数のモデルの結合、交差、切り取り
Fusion 360には、複数のモデルの結合、交差、切り取りができる「マルチボディー機能」が標準装備されています。これは、Standard版、Ultimate版共通の機能です。この機能を使うと、例としてワークの受け治具などを現場で設計できます。
下図の赤色のボディーはワーク(製品)部分で、青色のボディーは治具の材料部分です。このワークは2次元図面だけでは把握しにくい形状をしていますので、2次元図面から治具の設計をするとなると手間がかかります。ですが、3Dデータがあることで形状の認識が即座にでき、「どこをどうつかんで切り込めばよいか」といった加工検討も素早くできます。
「切り取り」の操作によって、青色のボディーに食い込んだ赤色のボディー形状がそのまま凹型となって残ります。このモデルが受け治具のモデルデータとして使えるのです。
このように、製造現場にFusion 360があれば、誰もが直感的に形状を把握できるだけでなく、設計部門やCAD部門からの指示を待つことなく段取りを進めることが可能となります。その結果、加工方法の検討時間が短縮できる他、アセンブリデータによって全体を把握することで、個々のパーツを組み立てた際の動作検証や不具合の早期発見が現場でも可能になります。
さて、そろそろ「こんなに多機能で便利なら、もうFusion 360さえあれば商用ミッドレンジ3D CADは必要ないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、残念ながら“1つで万能なツール”というものはあまり聞きません。どれも一長一短あるなと感じています。ですからFusion 360にも商用ミッドレンジ3D CADにも、それぞれに適した使い方があります。
次回はFusion 360と商用ミッドレンジ3D CADのコンセプトの違いを明らかにしながら、共存の道を探っていきます。お楽しみに! (次回に続く)
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製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。
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