TechFactory通信 編集後記
Surface RTとは違う?スマホの巨人に再注目
クアルコムが最新SoC「Snapdragon 845」の詳細を発表、「ARM版 Windows 10搭載ノートPC」の登場も明らかにされました。過去にはSurface RTという悪夢もあったわけですが、さて……。
クアルコム「Snapdragon」といえば多くのスマートフォンに採用された実績を持つSoC(System On Chiop)です。2017年12月に行われたクアルコムのイベントでは登場が予告されていた最上位製品「Snapdragon 845」の詳細が明らかにされました。
発表されたプレスリリースには、最高2.8GHz駆動の8コアCPU(ARM CortexベースのKryo 385)、処理能力を向上させながら電力効率を上げたグラフィックス、AI実行のDSP、LTE/Wi-Fiの通信機能などを有し、搭載製品が2018年に登場するとあります。
興味深いのは搭載製品の例として、スマートフォンはもちろんですが、VRヘッドセットやノートPCを挙げている点です。
この「Always Connected PC」はマイクロソフトが提唱する「ARM版 Windows 10搭載ノートPC」で、既にASUSやHP、Lenovoが製品化を表明しています。
発表されたASUS「NovaGo」とHP「HP ENVY x2」は一見するとシンプルな2in1ノートPCですが、Always Connected PCの特徴として、高速なシステム起動とLTEによる常時接続、さらには長いバッテリー寿命(HP ENVY x2ならば「オフライン動画を20時間再生可能」をうたっている)を兼ね備えます。
ARMコアのWindows PCといえば「Surface RT」(と明らかな失敗)を思い出しますがAlways Connected PCがインテルインサイド“ではない”PCとして、どんなパフォーマンスを発揮するかは興味深いところです。
加えて、PC向けという用途を確保したことは、クアルコムの企業戦略としても重要であり、こちらも非常に興味深いところです。現在は「スマホの巨人」であるクアルコムですが、ここ数年はスマホ一本槍からの脱却を目指した動きを活発化させており、産業向け「Snapdragon E」の投入や組み込みソフトウェア企業との提携などを行っています。
SnapdragonそのものはARMコアのCPUを中心に画像処理機能やLTEやWi-Fiのネットワーク機能、DSP、メモリなどを統合したもので、この構成からも分かるよう、かなり汎用(はんよう)的なものです。ですが、クアルコム自身がこれまでスマートフォン向けの部品供給に徹してきたこともあり、それ用途の用途は確立されていません。
製品の一部としてSnapdragonを活用する開発手法、つまり組み込み開発については買収を提案しているNXP Semiconductorsが豊富なノウハウを有しています。しかしながら、アップルとの訴訟などクアルコムを取り巻く法的環境は安定しておらず、買収も予定している2017年末までには終了しない公算が高くなっています。
Snapdragon 845を搭載した「Always Connected PC」は2018年春の市場投入が予告されており、登場する頃には(少なくとも)NXP Semiconductorsの買収にはなんらかの答えが出ているはずです。スマホの“巨人”、その挙動に2018年も注目したいと思います。
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