The Qt Company 事業戦略
急増する組み込みデバイスの開発を「Qt」で効率化、IoT時代に欠かせない存在に
The Qt Companyは、C++ベースのクロスプラットフォームUI開発フレームワーク「Qt(キュート)」の事業戦略発表会を開催。同社 日本オフィス 代表取締役のダン・クー氏が登壇し、「UI開発フレームワーク、日本ナンバーワン企業」の実現に向けた日本市場での展開について説明した。
The Qt Companyは2017年8月31日、C++ベースのクロスプラットフォームUI開発フレームワーク「Qt(キュート)」の事業戦略発表会を開催。Qtのビジネス機会と日本市場における事業展開について発表した。
まず簡単にQtの歴史を振り返っておこう。Qtは1991年にノルウェーで誕生し、1995年にTrolltechによりQtの最初のバージョンがリリースされた。途中、KDEのライセンス問題などもありながらQtの機能拡張、性能改善を進めてきたTrolltechだが、2008年にNokiaに買収されることとなる。その後、2011年にDigiaによるQt商用ライセンス事業の買収や、Qt Projectの発足などがあり、2014年にDigiaのQt部門が独立子会社としてThe Qt Companyを立ち上げた。そして2016年5月、The Qt CompanyはDigiaからの独立を果たし、同年7月に日本オフィス(東京)を開設している。
事業戦略発表会に登壇したThe Qt Company 日本オフィスの代表取締役であるダン・クー氏は、はじめにQtの特長と収益モデルについて説明し、Qtの市場優位性をアピールした。
クロスプラットフォーム&クロスデバイス展開が強みの「Qt」
「Qtの最大の特長は、Qtという1つのテクノロジーであらゆるユーザーニーズに適したUIを実現できることだ。QtはOSを問わず使用できるクロスプラットフォームであり、一度開発すれば複数のあらゆるデバイスに活用できるクロスデバイス展開が強みである」(クー氏)。製品開発を進める際、複数のプラットフォーム(OS)を視野に入れたアプリケーションおよびUI開発が望まれることがある。例えば、組み込みLinuxで動作するアプリケーションと同じものを、iPadやAndroidタブレット端末で操作・閲覧したいというニーズがある。こうした場合、単一ソースコードをベースにさまざまなプラットフォーム/デバイスに対応できるQtは、他のUIフレームワーク製品よりも優位であり、製品化までの期間を大幅に短縮することが可能だという。
Qtの収益モデルは、開発に必要な「デベロッパーライセンス」、Qtで開発された製品を配布する際に必要な「ディストリビューションライセンス」、Qtの専門エンジニアが直接顧客の開発を支援する「コンサルティング&サービス」、Qtのバージョンアップや各種アップグレードを提供する「サポート&メンテナンス」である。Qtというと世界5000社以上、70以上の業界で採用されているが、「ここ数年は、安定的な収益をもたらすデスクトップ(アプリケーション)分野とともに、組み込み分野での採用が急速に伸びてきている」とクー氏は述べる。
IoT時代、組み込みデバイスの増加が「Qt」の成長を後押し
組み込み分野での伸びを後押しする要因は、IoT(Internet of Things)である。IoTの活用、つながるデバイスが急増していく中で、さまざまなプラットフォームを採用するデバイス、いろいろな表示や操作が求められるアプリケーションが増えていく。また、こうしたデバイス数の伸びに対して、アプリケーション開発者の人数の伸びは非常に緩やかである。「そうなってくると、今よりも効率的にソフトウェアを開発できる仕組みが必要になってくる。こういった開発の効率化や高速化を実現できるのがQtである。IoTを背景とした組み込み市場の伸びが、Qtの事業をさらに大きく成長させていくだろう」(クー氏)。
では、The Qt Companyの日本市場での展開はどうか? クー氏は「日本は組み込みシステムに関して世界トップレベルの技術を持っている。汎用性の高いQtは既にいろいろな業種で使用されており、The Qt Companyとして重要な市場だと捉えている」という。具体的には、車載関連、産業機械、医療機器、複合機/オフィス機器、防衛産業などで活用されており、現在200以上の会社にQtが採用されているとのことだ。
そして、「その中でも、車載系、ロボットを含む産業機械、IoTを中心に、われわれはクロスプラットフォーム&クロスデバイス展開の強みが生かせると考えている。これら分野での採用が広がることで、今後のQtの事業拡大が期待できる」とクー氏は語る。なお、The Qt Company 日本オフィスでは「販売力の強化」「開発支援/プロダクトの強化」「パートナーシップの強化」の3つの事業戦略を掲げており、2021年までに、売り上げ規模で現在の3倍の成長を目指すという。
最後にクー氏は「効果的かつ効率的な技術、エコシステムの構築、コミュニケーション施策の展開により、アプリケーションUI開発フレームワーク企業で“日本ナンバーワン”のポジションを確立したい」と展望を述べる。
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