シード・プランニング 電子カルテ/PACS市場調査
病院向け電子カルテ市場は単価が低下傾向にあるが、ゆるやかに成長
シード・プランニングは、電子カルテと医用画像ネットワークシステム(PACS)に関する調査を実施。その調査結果を「2016年版 電子カルテの市場動向調査」にまとめた。
医療機関の情報共有の要として、「電子カルテ」「医用画像ネットワークシステム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)」の利活用が、今後ますます増えていくものと考えられている。
電子カルテ市場は、1999年4月に厚生省(現:厚生労働省)が電子カルテの運用を認め、2001年の貸付金制度、2002年の補助金制度により立ち上がった。当時、いち早く電子カルテを導入した病院では、既に2回、3回とリプレースを実施しているところもあるという。
また、政府が掲げる「『日本再興戦略』改訂 2015」において、「2020年度までに400床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げる」「2018年度までに、地域医療情報連携ネットワークの全国各地への普及を実現する」などの具体的な目標が示されていることから、電子カルテやPACSの普及拡大が見込まれている。加えて、行政施策として、地域で病院・診療所・介護施設などが連携して同じ患者の診療を行う「地域完結型」医療への転換が求められていることから、電子カルテやPACSの医療機関への導入は今後も伸びていくものと予想される。
市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは、電子カルテベンダー、PACSベンダー、電子カルテ導入病院/診療所、PACS導入病院/診療所を対象に、電子カルテとPACSに関する調査を実施。その調査結果を「2016年版 電子カルテの市場動向調査」にまとめた。
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電子カルテの普及率が42%程度の中小病院が主戦場に
まず、病院向けの電子カルテ市場だが、前述の「日本再興戦略」改訂 2015で具体的な数値目標が示されたことで、病院向けの電子カルテ市場は拡大が予想される。しかし、近年の傾向をみると、電子カルテの納入数自体は順調に伸びているが、リプレースや案件の小型化、クラウド型システムなどが増えたことで、単価が低下傾向にあるという。
2015年の電子カルテ市場(病院/診療所)は2161億円である。以降、ゆるやかに伸びていき、2018年には2594億円規模になると予測。今後、納入数の伸びが期待されるのは、電子カルテの普及率が42%程度の中小病院(ベッド数100~400床未満)であると考えられる。
一方、診療所向けの電子カルテ市場はというと、納入件数は順調に伸びると予想され、市場規模は2015年の133億円から2018年には156億円になる見込みだという。ただ、増税時の動きには注意が必要だ。2014年に消費税が8%へ増税した際、2013年に駆け込み需要が発生。その反動で、2014年の市場が病院向けを含め大きく縮んだ。消費税10%への増額の際にも同様の傾向がみられると予想できる。
なお、新規開業の診療所の70~80%が電子カルテを導入しているため、電子カルテ未導入の既存診療所(全国で約6.9万診療所)が今後のターゲットとして考えられている。
PACS市場、病院向けは成長停滞
一方、2015年のPACS市場は、中小規模病院、診療所などでクラウドサービスが伸びたが、大規模病院はリプレース需要のため、金額ベースでは473億円と横ばい。
病院向けPACSは、大規模・官公立病院でリニューアル案件が出ているものの、リプレース需要が多く、市場は415億円前後で横ばいで推移していくと予想。これに対し、診療所向けのPACSは、オールインワン型や電子カルテアプリを備えた廉価なクラウドサービスなどで2015年は58億円の市場となり、2018年には70億円規模になると考えられている。
クラウドPACSの導入数は、2015年3月末で530施設(前年同期比140増)と推計。シェアトップは、テクマトリックスの医療情報クラウド「NOBORI」で76%を占める結果となった。今後、PACS市場はクラウドへの移行が容易なプラットフォーム(VNA、ユニバーサルビュワー)の提供などで、クラウド型PACSが大きく伸びると予想。クラウド型PACSの導入施設は2017年で800施設になり、容量は4950TBになる見込みだという。
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