富士通研究所
大規模・複雑化するIoTサービスの運用管理を支援するソフトウェア基盤
富士通研究所と富士通研究開発中心は、IoTサービスの運用管理において、多種多様なセンサーやデバイス、ゲートウェイ機器の動作状態やネットワーク状態を一元管理し、安定的な運用を支援するソフトウェアプラットフォームを開発した。
道路や橋などの社会インフラにセンサーを取り付けて保守管理を行ったり、室内の温度、湿度、照度などの環境や消費電力をモニタリングして空調や照明を制御したりするなど、「IoT(Internet of Things)」システムの実用化に向けた取り組みが積極的に行われている。
IT専門調査会社のIDC Japanが2015年11月に発表した「2016年版 世界IT市場に関する予測」によると、2018年までに世界中のIoTデバイスの数が2倍以上の220億台に膨れ上がり、同時にこれらIoTデバイスを活用した20万種類以上のアプリケーション/ソリューションが新たに登場するだろうとしている。また、IDC Japanが2015年12月に発表した「2016年版 世界と国内のIT市場に関する予測」では、2018年までに日本国内のIoTデバイスは9億台になると見込みだと予測している。
IoTシステムの普及・利活用が本格化すると、ネットワーク接続されるデバイスの数は劇的に増加することになる。そうなってくると、急増するデータトラフィックへの対応やIPv6対応、セキュリティ対策など、ネットワークサービスの開発が複雑化し、ネットワーク監視・管理業務も大規模化の一途をたどることとなる。
こうした課題に対し、富士通研究所と富士通研究開発中心は、今後さまざまな展開が予定されるIoTサービスの運用管理において、多種多様なセンサーやデバイス、ゲートウェイ機器の動作状態や接続するネットワークの状態を一元管理し、安定的な運用を可能とするためのソフトウェアプラットフォームを開発した。
IoTの課題を解決するソフトウェアプラットフォームとは?
IoTの実用化が進むと、膨大な数の多種多様な機器がネットワークに接続され、それら機器から収集された情報を基にした“価値”が生み出され、人々の生活や企業活動に欠かせない、さまざまなサービスが提供されることになる。そのため、IoTサービスの提供事業者は、ネットワークに接続された無数のIoTデバイスを、クラウド上にある運用管理ダッシュボードなどから遠隔管理・監視して、機器の故障やネットワークトラブルを未然に防ぐ、あるいは迅速に対処することが求められる。
しかしながら、IoTデバイスとゲートウェイ機器や、これらを結ぶネットワーク機器などのIoTのフロントエンド部分を構成する機器の運用管理では、それぞれの機器からの収集可能な情報の形式が統一されておらず、機器メーカーが公開していない情報も多く含まれるため、障害が発生した場合の状況把握や問題特定、その対策に手間が掛かるといった課題を抱えている。
障害の原因分析に必要な監視情報を一元化する共通APIを規定
今回、富士通研究所と富士通研究開発中心が開発したのは、IoTデバイスと、ゲートウェイ機器やこれらを結ぶネットワーク機器から構成されるシステムの運用情報を一元管理して、障害分析を可能とするソフトウェアプラットフォームである。
開発したソフトウェアプラットフォームでは、まず障害の原因分析に必要なIoTデバイスやネットワークの稼働状況などの監視情報を共通の手順で取得するための「IoTフロントAPI」を規定。そして、このIoTフロントAPIと各機器が持つAPIとのプロトコルの差異や、データ形式の差を吸収する「アダプター機能」を、入れ替え/追加が可能なプラグインとして実現している。
また、IoTフロントAPIから得られる情報をデータベースに集約し、「障害分析API」によりトラブル分析を可能とする「IoTフロント情報管理機能」を実装する。これにより、システムを構成する各機器の種類にかかわらず、遠隔での運用管理サービスや分析ツールの提供が可能になるという。
今回開発されたソフトウェアプラットフォームは基本的に、ゲートウェイ機器上で動作し、ゲートウェイ機器とIoTデバイスはアダプターを介してWi-FiやBluetoothなどの近距離無線通信で接続されることになる。なお、収集する情報のうち、無線の障害監視に関するAPIについては、IEEE 802.1CFでの標準化を推進しているとのこと。
2016年度末の製品化を目指す
今後、両社は接続デバイスや無線通信方式を追加し、規模を拡大した実証実験を進め、2016年度末の製品化を目指すという。同時に、同プラットフォームに実装した運用監視に関する共通APIについて、国際標準化に向けた活動を進めていき、IoTサービスの運用管理を容易にするためのエコシステムの形成を加速していきたいとしている。
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