過去最高金額の達成あり、当局による無効あり、激動続く半導体業界M&A:企業動向を振り返る 2016年10月版
過去1カ月間のエレクトロニクス関連企業の動向をピックアップしてお届けする「企業動向を振り返る」。2016年10月も動きは止まらず、クアルコムがNXPを5兆円近くで買収する合意に達しました。この金額は半導体史上最高額のM&Aとなります。
2016年10月のエレクトロニクス関連企業の話題として最も大きなものは、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収でしょう。2016年10月27日(米国時間)に合意が発表されたこのM&Aの買取額は約470億米ドル(約4.9兆円)とみられ、半導体史上最高金額での買収劇となりました。
わずか1カ月前にはON Semiconductorが、世界で初めて商用の半導体ICを実現したといわれるFairchild Semiconductorを買収完了しており、激動はまだまだ止まないように思えます(関連記事:買収劇相次ぐエレクトロニクス業界、「残っている」企業は)。
半導体業界全体で言えば活発なM&Aが行われている状況と言えますが、最終的な合意に達しない、または当局の許可が出ないという例も散見されます。2015年4月には、東京エレクトロンとApplied Materialsの経営統合が白紙になり、2016年10月には、Lam ResearchとKLA-Tencorの合併買収が当局の判断によって無効となりました。
M&Aには「売り上げ規模や製品ポートフォリオの拡張によって競争力を高める」「不足する技術や製品を補う」といった効果を生みますが、寡占状態とまでなれば当局の規制対象となります。さらに言えば、半導体製造装置メーカー間のM&Aは、半導体メーカーとのパワーバランスにも影響を与えることから、警戒する企業が多いとも聞きます。
そろそろめぼしい企業が少なくなってきた感もあり、半導体メーカー間のM&Aは落ち着いたかと思いましたが、2016年11月にはSiemensによるMentor Graphics買収、Samsung ElectronicsによるHarman International買収など異業種間でのM&Aが起こりました。その詳細は次回に。
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